こんにちは。セキドの吉田です。
今回は「3D Gaussian Splatting(ガウシアン スプラッティング、以下「3DGS」)」について紹介したいと思います。3DGSは「従来の3Dモデリングとどんな違いがあるのか」や「どのように使われるのか」について、詳しく説明していきます。
3Dモデリングの基本
まずは、3DGSと比較するために従来の3Dモデリングの基本についてご紹介いたします。
点群
点群は、空間内の位置(座標)を持った点の集まりです。線や面なので表すモデル方法とは違い、点のみで3次元空間を表現しています。
3Dモデルの基礎と言える点群は、複数の画像をアライメント(整列)して特徴点を抽出し、三角測量によって各点の座標を計算します。
それらの座標を3次元空間に配置することで、点群が形成されます。
このデータを元にメッシュ化やテクスチャマッピングを行うことで、より精密でリアルな3Dモデルを生成することができます。点群は主に測量などで使われることが多いです。

メッシュ
メッシュは、3Dオブジェクトの表面を三角形や四角形のポリゴンで表す方法です。基本的にポリゴン内にメッシュを張ったポリゴンメッシュが使用されます。ポリゴンメッシュにテクスチャを張ることで皆様がよく見ている一般的な3Dモデルになります。
メッシュはポリゴンを使ってオブジェクトの表面を作るので、面として物体を見ることが可能です。3Dオブジェクトの中では一般的なものになるので基本的な3Dソフトで読み込むことが可能です。
しかし、ポリゴンの角が目立ったり、曲面を滑らかに表現するのが難しかったりすることもあります。

3D Gaussian Splatting(3DGS)とは?
3DGSとは、下のような釣り鐘型を示し正規分布とも言われるガウス関数(Gaussian function)を使って、よりリアルで滑らかな3Dモデルを作る方法です。ガウス関数とは、中心が一番濃く、外側に行くほど透明度が薄くなる形です。

3DGSの基本
3DGSは、楕円形(外枠のない外側に向かいだんだん薄くなった形)をたくさん重ねて3Dモデルを作る方法です。この楕円形は、ガウス関数(正規分布)を基にしています。


3DGSで使われる楕円形は、以下のような情報を持っています。
・位置:
楕円がどこに配置されるか。
・伸び方:
楕円がどれだけ引き伸ばされるか。
・色:
楕円がどんな色を持っているか。
・透明度:
楕円をどれくらいの濃さで表すか。
これらの情報を持った様々な楕円形がたくさん集まると、次のように3Dモデルが表示されます。


3DGSの特徴とメリット
3DGSは非常に滑らかな表現が可能で、特に透明なものや反射の強いものをうまく再現することができます。
例えば、ガラスや水、鏡など、メッシュでは表現しきれないものをきれいに描けるのが特徴です。ポリゴンメッシュではどうしても角が目立ってしまいますが、3DGSを使うとより自然で現実に近い仕上がりになります。
3DGSのメリット
・透明な物体の表現
メッシュでは難しい透明な物体(ガラスや水など)をきれいに表現できます。
・滑らかさ
メッシュモデルでは目立つポリゴンを、3DGSでは自然に滑らかな形で表現できます。
・リアルな質感
光の反射や透明度をリアルに再現できるので、より現実に近い表現が可能です。
3DGSのデメリット
・普及していない
まだ多くのモデリングソフトではサポートされていないため、専用のソフトウェアやプラグインが必要になることが多いです。
・編集が難しい
専用のソフトウェアやプラグインが必要なため、3DGSの編集が難しくなることがあります。
・レンダリング時間が長い
3DGSをレンダリング(データの映像化)する際、普通のメッシュモデルを作るよりも時間がかかります。特にVRAMが多く必要になることが多いので、高性能なPCが求められます。
3DGSの作り方
3DGSの作り方は通常のフォトグラメトリと同じで、様々な方向から写真を撮る必要があります。セキドでは、3DGSを作成することができる XGRIDS のハンディースキャナー製品を取り扱っております。詳しくはこちらのコンテンツをご覧ください。

高性能ハンディ3Dスキャナー XGRIDS Lixelシリーズとは?
機能や特徴をレビューします
まとめ
ここまで3DGSの特徴やメリット・デメリットについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
3DGSは、従来の点群やメッシュと比較して、高品質かつ効率的な3Dシーン表現を可能にする革新的な技術です。特にゲーム、映画、建築、文化財保存、製造業において、複雑な環境やポリゴンメッシュでは表現できないものを表すことが可能で、従来の手法では困難だった精密な3Dモデリングと没入感の高いビジュアライゼーションを実現し、各産業のデジタル表現に新たな地平を切り開くポテンシャルを持っています。
新しい技術として、非常に魅力的ですが、まだ発展途上の部分も多いです。そのため、使う場面や目的によって、従来のメッシュや点群との使い分けが必要です。
3DGSの業務活用をご検討されている方に向けて、用途に応じた事例や機材などのご提案、お見積りも承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
3DGSスキャンにご協力いただいた場所について

今回は、秋田県由利本荘市にある旅館「安楽温泉」にご協力いただき、館内をスキャンさせていただきました。日常の喧騒を忘れてゆっくりと過ごされたい方におすすめの旅館です。
