こんにちは、セキド産業用ドローン担当の平井です。

今回は、2023年10月10日にDJIより発表された DJI Matrice 350／300 RTK 搭載用新型LiDAR（ライダー）モジュール「DJI ZENMUSE L2（ディージェーアイ ゼンミューズ L2）」について、どこよりも早い検証データ付のレビューをご紹介します。機能やコストの現実的なバランスの良さからドローン用LiDARのスタンダードとなった前モデル Zenmuse L1 との違いや、実際に屋外で検証したデータ／素材で見る新型の精度や効率性をぜひご確認ください。

Zenmuse L2 と前モデルとの比較

DJI Zenmuse L2 は、2020年10月にDJIより発表されたDJI初のLiDARモジュール「ZENMUSE L1」の後継機となっております。測量をはじめとして林業やBIM／CIM、送電線点検（H20シリーズとの組合せ）など、幅広い用途で活躍が見込まれる製品です。詳細なスペックや全モデルとの比較はこちらの表をご確認ください。

続けて、特徴的な5つの変更ポイントについて解説していきます。

リターン／レーザーパルスについて

Zenmuse L1 では、仕様上3リターン時にサンプリングレート160kHzまで下がってしまいましたが、Zenmuse L2 であれば5リターン時でも240kHzでの照射が可能となり、3リターン以上でも高密度の点群取得ができるようになりました。

ビーム発散角について

Zenmuse L1 はビーム発散角が縦 4.8mrad✕横 0.5mrad（高度50m時：縦 24cm✕横 2.5cm）と縦長のビーム形状になる特性をしています。これによりグラウンドへの透過率はもちろんですが、飛行プランによっては構造物などの再現性が低下するケースが多々ありました。対して L2 のビーム発散角は縦 1.2mrad✕横 0.4mradと縦方向のビーム形状が1/4ほど小さくなっています。記事の後半には検証データを記載していますので、データ比較もご確認ください。

IMUウォーミングアップについて

Zenmuse L1 ではLiDARの出力を安定させるために、電源投入時に3～5分ほどのウォーミングアップ時間が必要でした。現場での機体トラブルなどにより再起動を行う場合は都度ウォーミングアップを待つ必要があり、効率面からネックとなっていました。Zenmuse L2 においてはウォーミングアップの必要がないので、設置から飛行まで素早く効率的に業務を遂行することができるようになりました。今まで L1 を利用していた方からすると、痒い所に手の届く便利なアップグレードではないでしょうか。

可視光カメラについて

これもかなり大きなアップグレードとなっています。Zenmuse L1 では Phantom 4 RTK と同等の1インチセンサー／20MPのカメラが搭載されていますが、Zenmuse L2 では Mavic 3 Enterprise と同等の可視光カメラが搭載されております。ULS（レーザー測量）の特性上、飛行スピードは速い方が精度が良くなる傾向にあります。今まではLiDAR点群と同時にオルソ撮影を行った場合、可視光カメラのシャッター間隔がネックで飛行速度を上げることができませんでした。Zemmuse L2 に搭載されたカメラはシャッター間隔が最大0.7sとなり、L1 よりも高速で連写でき、飛行速度を上げて効率的にデータを取得することが可能となっています。

対応機種について

Zenmuse L2 は Matrice 300／350 RTK の両モデルに対応となっていますが、Matrice 300 RTK では付属のスマート送信機が非対応となっているため、別途 RC Plus をお使いいただく必要があります。

DJI RC Plus

検証データ比較

今回は千葉県某所にて Zenmuse L1 と L2 での比較検証を行ってきました。検証条件は以下のとおりです。

飛行プランは以下のとおりです。

グラウンドデータ比較

・Zenmuse L2 の検証データ

No1. L2［50m繰返し］

No2. L2［50m繰返しなし］

No3. L2［100m繰返し］

No4. L2［100m繰返しなし］

・Zenmuse L1 の検証データ

No5. L1［50m繰返し］

No6. L1［50m繰返しなし］

No7. L1［100m繰返し］

No8. L1［100m繰返しなし］

「No2. L2［50m繰返しなし］」のデータで分かる通り、圧倒的なグラウンド取得率となっています。「No4. L2［100m繰返しなし］」と「No6. L1［50m繰返しなし］」を比較しても点群取得数が多いのがわかります。
飛行速度が 10m/sと高速で L1 より点群密度が下がってしまっていますが、ビーム発散角が小型化した影響で、より正確にグラウンド取得が可能となりました。

構造物の再現性

続いて対空標識の認識性や断面などを比較していきます。雑草生い茂る現場でしたので、ノイズを考慮してテーブルの上に対空標識を設置しています。

［対空標識を設置した場所の様子］

［検証データ］

こちらも圧倒的な差ではないでしょうか。形状の認識性及び点群の厚みの軽減が大幅に向上しているのが分かります。特に「No1. L2［50m繰返し］」に関しては、厚み及び認識性がずば抜けて良い結果となりました。

精度検証

今回の検証結果として、Zenmuse L2 では全て5cmの誤差精度に収まっていることが確認できました。特に高さ方向については点群のばらつきが減っていることから、格段に精度が向上したことが分かります。

いかがだったでしょうか。ゲームチェンジャーとして登場した Zenmuse L1 の後継モデルということで、使い勝手や精度面など全てが向上していることが今回の結果からわかりました。セキドでは今後も様々な検証を行い現場データを公開していく予定ですので、楽しみにお待ちください。

また、Zenmuse L2 の発売を記念して、緊急のWEBセミナー開催が決定しました。10月17日（火）14時からの本セミナーでは、基本スペックから活用例はもちろん、実際に検証して取得したデータを元に製品の特徴を解説いたします。
現在はWEBセミナーの内容をYoutubeでアーカイブ配信しております。以下よりお申込みいただくことで無料でご視聴いただけます。

【アーカイブ配信】Zenmuse L2 製品紹介WEBセミナー

この他、10月20日以降に各地で開催するドローン測量でも Zenmuse L2 の操作や取得データが確認できるデモフライトの実施が決まりました。実際の現場に近い環境で高精度空撮LiDARシステムの性能をご覧にいただける機会ですので、ご都合に合わせてぜひご参加ください。

無料WEBセミナー・体験会 一覧

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Zenmuse L2 の詳細や価格などは、こちらのフォームからお問い合わせください。

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セキドでは、DJI産業用製品の納品時に専門の操作説明を用意しております。基礎的な使い方はもちろん、実際の現場での運用を想定したプラン作成およびデータ処理についてもサポートしておりますので安心して導入いただけます。詳しい内容を紹介したコンテンツも公開しておりますので、合わせてご覧ください。

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