DJI Matrice 5Tを実機検証|Matrice 4Tとの違いを赤外線・最大176倍ズーム・障害物検知で比較
こんにちは、DJI 産業用ドローン担当の鈴木です。
今回は、2026年11月5日(木)に登場した産業用ドローン「DJI MATRICE 5T」を実機で検証しました。赤外線カメラ、ズーム、障害物検知などを中心に、Matrice 4Tとの性能の違いを比較します。
インフラ・設備点検や捜索救助など、実際の現場でどのように活用できるのかについてもご紹介します。Matrice 4Tからの更新や、新規導入を検討している方はぜひ参考にしてください。




DJI Matrice 5TとMatrice 4Tの主な違い・仕様比較
■使用比較表
| MATRICE 5T | MATRICE 4T | |
| 赤外線解像度 | 1280 × 1024 | 640 × 512 |
| 望遠カメラ | 252mm/最大176倍 | 168mm/最大112倍 |
| 光学ズーム | 最大11倍 | 最大7倍 |
| 最大飛行時間 | 59分 | 49分 |
| 機体重量 | 2,239g | 1,219g |
| 機体保護等級 | IP55 | — |
| 障害物検知 | LiDAR・ミリ波レーダー・ビジョン | ビジョン。別売検知モジュールあり |


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DJI Matrice 5Tの主な特徴
まずは、Matrice 5Tの機体やカメラ構成を見ていきます。
広角・中望遠・望遠・赤外線カメラに加え、夜間視認や測距、障害物検知など、現場で必要になる機能が一台にまとまっています。点検や捜索では、対象との距離や周囲の明るさによって確認方法が変わりますが、複数のセンサーを使い分けられるのは便利なポイントです。
また実機を見て最初に感じたことは、Matrice 4Tより一回り大きい点です。実際に重量は増えていますが、折りたたみ式のため、車両への積み込みや現場での展開にも配慮された設計です。大型機のように運搬や準備に手間をかけずに、幅広い機能を持ち込むことができる点は引き続き大きな魅力だと思います。
■左がMatrice 4T、右がMatrice 5T






赤外線(サーマル)カメラの画素数が4倍に
今度は赤外線カメラについて注目していきます。
Matrice 5Tの赤外線カメラは1,280×1,024で、Matrice 4Tの赤外線センサー解像度640×512と比べて総画素数は4倍です。解像度はZenmuse H30Tと同等です。ハイエンドの大型機と同等のスペックを、折りたたみ式の機体で使えるのは大きな魅力です。
マルチセンサーカメラの違いについては下記コンテンツをご覧ください。
マルチセンサーカメラ DJI Zenmuse H30シリーズの見え方の違い紹介コンテンツをみる
さらに、輪郭強調や熱源オーバーレイ、可視光と赤外線を重ねるフュージョン表示なども利用できます。

実機では、鉄柵の温度変化や雲の反応など、細かな温度変化を捉えやすいことを確認しました。赤外線解像度の向上に加え、輪郭強調や熱源オーバーレイを使うことで、設備の状態や周囲の状況を把握しやすくなります。赤外線カメラの様子は動画でご確認ください。
光学ズームと最大ズーム倍率が向上|夜間視認性が向上
続いてズーム機能を見ていきます。
光学ズームは最大11倍、望遠カメラは最大176倍のハイブリッドズームに対応しています。望遠カメラの焦点距離は252mmで、Matrice 4Tの168mmから長くなりました。最大ズーム倍率も、Matrice 4Tの112倍に対して176倍です。
夜間視認機能はカラーとモノクロに対応し、近赤外線照射器とレーザー距離計も搭載されています。暗い場所での状況確認や、対象の位置を把握したいときに活用できます。
LiDARとミリ波レーダーによる障害物検知
障害物検知には、360度スキャンLiDAR、ミリ波レーダー、全方位ビジョンセンサーが使われています。
今回、太さ約1cmの紐を障害物として検証したところ、Matrice 5Tでは検知して停止することを確認しました。一方、Matrice 4Tの標準構成では、同じ検証条件で紐を検知できませんでした。今回の実機検証では、標準搭載センサーによる検知結果の違いを確認できました。
Matrice 4Tも別売の障害物検知モジュールを装着すると構成が変わりますが、今回は標準構成同士で比較しています。Matrice 5Tは障害物検知センサーを標準搭載しているため、追加機材を用意せずに使える点もメリットです。
※障害物の検知結果は、対象物の材質・太さ・距離・周囲環境などによって異なる場合があります。
防塵防滴性能と静音プロペラ
機体保護等級はIP55、動作環境温度は-20℃~50℃です。防じん・防滴性能を備え、捜索や巡回など天候が変わりやすい現場でも活用の幅が広がります。
検証日は雨天でしたが、今回の検証環境では飛行を行うことができました。雨天時の飛行の様子は動画でご覧ください。
プロペラは騒音を抑える設計になっています。検証時には、高度30~50mで飛行させた際、飛行音は小さく感じられました。
住宅地や施設周辺といった音への配慮が必要な現場でも運用しやすくなりそうです。
上向き撮影、サーチライト、スピーカー
ジンバルは上向き90度まで動かせます。これまでの機種では難しかった橋梁の裏側や屋根、天井設備の撮影にも使えます。サーチライトもジンバルに連動して上を向くため、暗い場所での確認にも便利です。カメラとライトが連動する様子は、動画でご覧ください。
ライトにはスポット照射と広範囲照射の2つのモードがあり、実機では光量の向上を確認できました。スピーカーについても、現場での案内や呼びかけに使用できる音声出力を確認しました。


Matrice 5Tで追加・強化された機能
AI検知と送電線フォローモード
20種類以上のAI検知モデルに対応しています。可視カメラでは人物や車両、船舶、動物、煙、火などを検知し、赤外線カメラでは人物・車両・船舶を検知できます。広い範囲から対象を探す捜索や巡回で、確認作業を効率化できます。
新たに追加された送電線フォローモードでは、機体上部のLiDARで電線を捉え、線に沿って横方向に飛行します。送電線の素線切れや異物の確認など、送電設備の点検に活用できます。
点検用ドローンを使った送電線フォローについては下記のコンテンツをご覧ください。
送信機は屋外で見やすく、通信も強化
Matrice 5Tでは、機体だけでなく送信機も新モデルに変更されています。標準構成のRC Plus 3 Enterpriseは、7.44インチ・解像度1920×1440・輝度2000nitの高輝度ディスプレイを搭載。
また重量は1,240g、保護等級はIP54です。
sub2Gのマルチバンド通信とデュアル4G映像伝送モジュールに対応しています。高層建物の多い都市部や、遮蔽物のある現場での通信安定性向上が期待されるポイントです。
Matrice 4Tの送信機と比べると、画面サイズは7.02インチから7.44インチへ拡大し、輝度も向上しています。4G映像伝送モジュールは外付けから内蔵へ変わり、アンテナ構成やバッテリー容量も強化されました。画面の見やすさと通信性能の両面で、屋外での操作性が高まっています。



Matrice 5Tの活用用途|インフラ点検・捜索救助・送電線点検
これまで確認した機能から、Matrice 5Tは次のような場面・現場での活用が想定されます。
- ・電力・通信設備の巡視、熱異常や外観の確認
- ・住宅やオフィス、大型プラント、橋梁などの点検
- ・災害現場での状況確認、夜間の捜索救助、位置の共有
- ・太陽光発電所や広い施設の巡回、パネルや設備の熱異常確認
- ・森林火災の初期確認、野生動物や熱源の探索
- ・海上の巡視や洋上設備の確認


まとめ
今回、DJI Matrice 5Tを実機で検証し、特に印象的だったのは、赤外線カメラやズーム性能、夜間視認、障害物検知、AI検知など、現場で求められる機能が一台に集約されている点です。
Matrice 4Tと比較すると、赤外線センサーの総画素数は4倍となり、最大176倍のハイブリッドズームにも対応。さらに、LiDARとミリ波レーダーを組み合わせた障害物検知や送電線フォローモードなど、点検や捜索といった用途で役立つ機能も強化されています。
機体はMatrice 4Tより大きく、重量も増えていますが、折りたたみ式で持ち運びや現場での展開に配慮された設計です。実機検証では、障害物検知や雨天時の飛行、静音性なども確認でき、運用面での特徴も把握できました。
これまで大型機で求められていた高性能な赤外線撮影、ズーム機能、障害物検知、防塵・防滴性能などを、持ち運びしやすい折りたたみ式の機体で利用できる点は、Matrice 5Tの大きな特徴です。
住宅やオフィス、大型プラント、橋梁、高速道路、電力設備の点検をはじめ、太陽光発電所の熱異常確認、森林火災の初期確認、野生動物の探索、海上巡視、災害現場での状況確認や夜間の捜索救助など、幅広い分野での活用が期待できます。


今回の実機検証を通じて、Matrice 5Tは単にMatrice 4Tの性能を向上させただけでなく、高性能な撮影・検知機能を、これまで以上に幅広い現場へ持ち込める新たな選択肢になると感じました。
Matrice 4Tからの更新や新規導入をご検討の方は、用途に合わせた機種選定や運用方法についてもご案内しますので、ぜひお問い合わせください。

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