業務用ドローン搭載マルチセンサーカメラ DJI Zenmuse H30シリーズを実機レビュー!
こんにちは。セキド産業用ドローン担当の奥です。
今回は、2024年5月16日にDJIより発表されました DJI Matrice 350/300 RTK搭載用マルチセンサーペイロードである「DJI ZENMUSE H30シリーズ」について、実機を使った検証レビューをご紹介いたします!
Zenmuse H30シリーズは前モデル Zenmsue H20シリーズから実に3年半ぶりのアップデートとなり、両製品の比較検証を行ったところ、スペック・数値以上の進化が確認できましたので、ぜひ最後までご確認ください。
DJI Zenmuse H30シリーズとは
Zenmuse H30シリーズは、広角カメラ・ズームカメラ・レーザー距離計・赤外線サーマルカメラ(H30Tのみ)・NIR補助ライトが一体型になったハイブリッドカメラです。このカメラを使用することによって、外壁・ソーラーパネル・鉄塔などのインフラ点検や災害時の探索、鳥獣駆除など幅広いシーンで活用することができます。
Zenmseu H30シリーズには、赤外線サーマルカメラ無しの「Zenmuse H30」と、赤外線サーマルカメラ有りの「Zenmuse H30T(「T」はThermalの意)」の2つのモデルがありますが、共に測量用途での利用は推奨しておりませんのでご了承ください。
Zenmuse H20シリーズとの比較
Zenmuse H30シリーズとH20シリーズのスペック比較は、メーカーサイトでも公開されていますが、その中から Zenmuse H30シリーズの特筆すべきポイントをピックアップしました。
・保護等級がIP44 → IP54にアップグレードし、より過酷な環境での使用に対応・広角/ズームカメラのセンサーサイズと画素数がスペックアップ ・ズームカメラの最大光学ズームが20倍 → 34倍に、 ・赤外線カメラの解像度が1280✕1024pxと4倍に向上 ・レーザー距離計の測定範囲が3~1200m → 3~3000mに拡大 ・夜間撮影モードを搭載、さらにNIR補助ライト(近赤外線照明)で ・電子式ヘイズ除去機能で、霧がかかったかんきょうでも鮮明な映像が確認可能 |
今回はこちらのポイントを確かめるため、実際にその性能を検証してきました。
Zenmuse H30T の実機検証
検証環境
日時:2024年5月20日 13:30~16:00
天候:曇りのち晴れ/微風
場所:春日部みどりのパーク
使用機材:
Matrice 350 RTK、Zenmuse H30T、Zenmuse H20T(比較用)、Matrice 30T(比較用)
検証1. ズームカメラの性能
今回は春日部みどりのパークのグラウンド上空の撮影位置から直線距離80mの施設(元校舎)に設置された時計に記載された「Nattional」の文字を対象にズームカメラをテストしてみました。
Zenmuse H30T のズーム性能を動画で見ていただきましたが、H20T で撮影した画像との比較がこちらです。
a. 光学ズームでの最大倍率ズーム
b. デジタルズームでの最大倍率ズーム
光学ズームが20倍から32倍になったことで、より鮮明で滲みが少なく見えるようになりました。
また、DJI製ドローンとペイロードの組み合わせは、非常に優れた安定性とジンバル性能によりズーム撮影でも揺れが少ないことが特徴ですが、Zenmuse H30シリーズではさらにジンバルのブレが軽減され、撮影対象の状態を詳細に確認できるようになりました!警戒心の強いカラスの様子も離れた位置から細かくわかります。
検証2. 赤外線サーマルカメラの性能
春日部みどりのパーク グラウンドに設置されているソーラーパネルにて、赤外線カメラの性能検証を行いました。こちらのソーラーパネルは2023年設置と比較的新しいため、ホットスポットの検出はできませんでしたが、鳥の糞や集積装置による発熱などが、赤外線カメラの解像度が4倍になった H30T ではより鮮明に検知できました。
a. ソーラーパネル上の汚れを確認
今回、H30T を用いて発見したソーラーパネル上の鳥の糞による汚れがこちらです。標準機能で可視光と赤外線カメラの2画面比較が可能で、パネルの状態を簡単に確認できます。
b. H30T と H20T での赤外線カメラ比較
どちらも高度70mより撮影をしましたが、パネルの形状や影の部分の温度差などの明瞭度が明らかに違うことがわかります。製品紹介で謳われている『赤外線カメラの解像度が4倍になった』の意味が、実際に比較することで初めて体感できました。
番外編:漏水箇所を発見
今回の検証では事前に想定したスペック確認のほか、進化した性能を活かすため様々な場所を撮影していたのですが、その過程で施設内の漏水を発見し、対象箇所を特定することができました。
施設屋上部分を赤外線カメラで撮影していると、太陽光で照らされているにも関わらず、一部で温度が低く暗く映る部分を発見し、そこから辿ることで漏水箇所の特定にいたりました。実際に管理人の方に屋上を開けていただき確認をしたところ、給水タンクの根元からバッキリと漏水していることの確認ができました。
魅力的な機能が盛りだくさん
DJI Zenmuse H30T には、これまでにない複数の新機能が追加され、既存機能でもカメラ性能がスペックアップしたことで “より鮮明な良いデータ” の取得が出来るようになりました。今回、その一端をご紹介します。
新機能:電子式ヘイズ除去機能
この機能は、スモッグや大気湿度など霧・霞がかった環境下でより見やすい映像へと加工処理を行ってくれる機能です。送信機で操作する際に「見えづらいな」という不安要素を軽減することができます。
新機能:NIR補助ライト
こちらは赤外線ライトとなっており、夜間の監視・捜索に非常に有用なものとなっています。今までの夜間向きのドローン・カメラでも「完全な暗闇」では上手く見えないことがありました。※あくまで低照度である必要があった。
しかし、このNIR補助ライトがあることで完全な暗闇のような環境下でも運用ができるようになりました!
高解像度グリッド
こちらは撮影したい対象を送信機上で囲うことで、広角カメラでエリア全体を、ズームカメラでエリアを複数に分割した写真を自動で撮影する機能です。H30Tでは光学ズームが32倍となりましたので、ズームカメラで分割された写真1枚1枚の画質が向上しましたので、嬉しい性能アップとなっています。
パノラマ機能
既存の機能ではございますが、やはりあって困らない機能。文字通りパノラマ撮影ができ、現場状況の記録を残すには最適な機能となります。
最新の産業向けドローン用カメラが気になる方は
3年半振りにモデルチェンジしたマルチセンサーペイロード Zenmuse H30T はいかがでしたでしょうか?これまで以上に精細で正確なデータを取得でき、夜間の調査や捜索などに対応し H20N の後継モデルとして活用が期待される新製品でした。Zenmuse H30T が少しでも気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、セキドでは今回ご紹介した Matrice 350 RTK&Zenmuse H30T などの産業用ドローンによるインフラ点検や測量の現場を想定したデモを行う無料実演会、最新事例と撮影データ紹介する無料WEBセミナーなどを定期開催しております。横浜市金沢区の セキド DJI 横浜ドローントレーニングセンターを中心に各地で開催する実演会は、最新モデルによる実際の撮影データを確認することもできる、導入検討中の事業者様に最適なイベントになっておりますので、ドローンを使った業務効率化に興味をお持ちの方は、お気軽にご参加ください。