ドローンの通信途絶を解消するO4 グラウンドステーションの性能を山間部で現場検証。DJI Dock 3の活用範囲拡張を確認
こんにちは、セキド DJI産業用ドローン担当の奥です。
今回は、DJI Dock 3の伝送範囲を拡大する「DJI O4 グランドステーション」の性能検証レポートをお届けします。
実際に DJI Dock 3を現場導入されている株式会社鴻治組様のご協力のもと現場検証を実施した結果、『活動範囲(通信範囲)の拡張』が確認されました!

株式会社鴻治組 とは
今回、DJI Dock 3の伝送範囲を拡大する DJI O4グランドステーション の現場検証にご協力いただきました株式会社鴻治組様は、広島県に拠点を置く総合建設会社です。「一歩先の建設へ。」というスローガンの通り、先進技術にもいち早く挑戦・実装し、高い技術力をもとに高品質な施工を実現されている企業です。

建設業界における DJI Dockシリーズの導入は、いわゆる「スーパーゼネコン」を中心に早い段階から進んできましたが、鴻治組様はそのスピードに負けず劣らずの迅速さで導入を開始されました。地域(広島県)にとどまらず、日本国内でも最先端のユーザーとして製品をご活用いただいています。
DJI O4 グランドステーション とは
DJI O4 グランドステーションは、映像伝送システム DJI O4 Enterpriseに対応した通信拡張デバイスです。ドローンの遠隔運用を行うためのクラウドプラットフォーム DJI FlightHub 2と連携することで、DJI Dock 3から離発着するドローン「DJI Matrice 4Dシリーズ」の飛行範囲を広げることができます。

O4 グランドステーションの基本スペックや詳細については下記記事で解説しております。本記事と合わせて、ぜひご確認ください。
DJI O4 グラウンドステーションで通信課題を解決 を読む
検証項目と結果
今回の検証では、以下の3つの観点から詳細な検証を行いました。
1.日本国内で問題なく稼働するか
⇒ 結果:問題なく使用できることを確認しました。
2.設定方法や使用上の注意点・留意事項はあるか
⇒ 結果:「DJI Enterpriseアプリ」での初期設定が必要となり、ネットワークRTKでのキャリブレーション(位置補正)が必須となります。
3.電波が届かないエリアへ通信を拡張できるか
⇒ 結果:山の尾根の先にある、従来の通信が途絶するポイントへの拡張に成功しました。

検証現場の状況と課題
現在、株式会社鴻治組様では、山間部における道路工事現場で DJI Dockを配置して運用されています。
工区は、DJI Dockを設置・運用中の「工区A」と、そこから約1km離れた「工区B」の2つに分かれています。工区Aでは問題なく運用できており、工区Bにも運用の範囲を広げたいものの「手前にある山の尾根が障害となり電波が遮られ、通信が途切れてしまう」ことが課題となっていました。
実際に DJI FlightHub 2上で電波強度を可視化する「信号マップ」でも、工区B周辺は信号が弱い(オレンジ)~非常に弱い(赤)と表示されている状態でした。


※本現場は工事区域として関係者以外の立ち入りを制限・管理しており、管理敷地内における目視外飛行(カテゴリーII-A)として国土交通省より飛行許可を取得のうえ運用しています。

実際にO4 グランドステーション を設置して検証
O4 グランドステーションの使用にあたって、以下の環境で検証を行いました。
・O4 グランドステーション 本体
・電源供給 :PoEハブ/電源ケーブル/LANケーブル
・電源元 :DJI Power 100
・ネット環境:STARLINK MINI/LANケーブル
・初期設定 :Android端末/DJI Enterpriseアプリ/USB Type-C to C ケーブル/ネットワークRTKアカウント

まず、初期設定を行います。O4 グランドステーション本体のアンテナ下部にある Type-C ポートと、DJI EnterpriseアプリをインストールしたAndroid端末をケーブルで接続します(※Androidスマホをお持ちでない場合は、送信機でも代用可能です)。事前準備としてアプリをダウンロードしておくと、接続時に自動で立ち上がりスムーズに初期設定へ進めます。

初期設定では、O4 グランドステーションを設置した位置情報を正しく登録(位置キャリブレーション)する必要があります。
なお、今回の検証ではインターネット回線に「STARLINK Mini」を採用しましたが、O4 グランドステーション本体に「DJI Cellular モジュール(DJI DONGLE 2)」とSIMカードをセットして通信させることも可能です。

位置のキャリブレーション(位置校正)手順
位置キャリブレーションを行う際は、画面上の赤字で表示されている「Not Calibrated(未校正)」の隣にあるペンマークのアイコンをタップします。
メニューから「Custom Network RTK Calibration」を選択し、必要情報を入力すれば設定完了です。

【設定時の注意点・ポイント】
キャリブレーション完了後に O4 グランドステーション本体を動かした場合は、再度やり直しが必要になります。
ネットワークRTKのアカウントは、DJI Dock本体の位置キャリブレーションで使用しているものと同一のアカウントを使用してください。
あとはドローンを飛ばすだけ!
DJI FlightHub 2からドローンに飛行指示を出す際、配信・通信の選択肢に O4 グランドステーションが新しく追加されます。
自動飛行・手動飛行のどちらの場合でも、この O4 グランドステーションを通信先として割り当てることで、飛行範囲の拡張が可能となります。

実際に飛行させた際の映像では、通信が DJI Dockから O4 グランドステーションへ切り替わるタイミングで一瞬(0.5秒ほど)画面がブラックアウトする挙動が見られましたが、飛行自体に影響や支障はありませんでした。また、O4への切り替え完了後も、映像の遅延(ラグ)などは発生せず非常に安定していました。
スペック上の通信距離はあくまで「参考値」
「そもそも DJI Dock 3の通信距離は最大半径12kmではないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
カタログ等に記載されている通信距離は、あくまで「遮蔽物や電波干渉が一切ない理想的な環境」で測定された数値です。電波は基本的に直進するため、障害物を迂回することはありません。そのため、たとえ1kmほどの距離であっても、間に山や尾根などの遮蔽物があると電波が遮られ、通信途絶が発生してしまいます。
そのため、「O4 グランドステーションはどこに設置するのがベストか?」という疑問に対しては、一概に「〇〇メートル先」とお答えすることができません。基本的には「DJI Dock本体からの通信限界エリアの手前で、目的の撮影ポイントが見通せる場所」へ設置するのがベストな運用方法となります。
広い現場には「マルチドック機能」もおすすめ
O4 グランドステーションの導入により、通信距離・遮蔽物の課題は大きく改善されました。
次に焦点となるドローン運用の技術的課題は「バッテリー持ち(1回の飛行可能時間)」です。「O4 グランドステーション を使って通信距離を伸ばせたものの、目的地で作業するだけのバッテリー残量が残らない」とお悩みの方には、複数台の DJI Dockを連携させて運用する「マルチドック機能」がおすすめです。

これは、渡り鳥が島々を渡っていくように「Dock Aから離陸し、ミッション実行後にDock Bへ着陸する」という運用ができる機能です。目的地付近の DJI Dockで自動充電を行いながら運用できるため、広大な現場でも安全かつ広範囲に活動エリアを広げることが可能になります。
まとめ・導入のご相談はこちら
DJI Dock 3は建設現場をはじめとした様々な現場で省人化・省力化に貢献できるドローンポートです。
一方で、これまで「山間部で電波が遮られる」「広い現場で一部エリアに通信が届かない」といった環境上の課題から、自動飛行ドローン(DJI Dock)の導入を見送られていたケースは少なくありませんでした。
しかし、今回検証したO4 グランドステーションの登場により、DJI Dockの運用可能エリアは劇的に拡大することが実証されました。これまで課題だった地形や遮蔽物による通信途絶をクリアし、現場全体の完全自動化・省人化に向けた大きな一歩を踏み出すことができます。
セキドでは、DJI Dockシリーズの製品選定から、現場環境に応じたO4 グランドステーションの配置シミュレーション、導入後の運用支援までトータルでサポートいたします。
建設現場や災害現場などの現場業務の省人化・省力化などに課題がある方、実機の導入効果を確認したい方などはぜひお気軽にお問い合わせください。

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