国交省が示した「海洋ドローン実装元年」―防災・環境・教育・地域DXをつなぐ、新しい海のインフラへ―
海の課題は、見えていないこと自体が
最大のリスクになる。
2026年3月、国土交通省は「次世代海洋モビリティビジョン ~海洋ドローンでデータ駆動型ブルーエコノミーを拓く~」と、その関連資料集を公表しました。国交省は海洋ドローンを、AUV、ROV、USVなどを含む海洋無人機として整理し、海洋データの収集・分析による海の「見える化」と、水上・水中作業の自動化を実現し、担い手不足の補完、生産性向上、新市場創出に貢献する基盤技術と位置づけています。
(出典 国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001993817.pdf)
今回の資料が重要なのは、海洋ドローンを、港湾、物流、エネルギー、観光、防災、環境などの分野をデータでつなぐ存在として示している点です。資料集では、海上・沿岸・陸上が相互に連携する「データ駆動型ブルーエコノミー」の実現を掲げ、経済的利益と海洋の安全確保、環境保全といった社会的便益の両立を目指す方向性が明記されています。
その背景には、沿岸域・離島地域における人口減少や担い手不足、潜水作業の危険性、港湾インフラの老朽化、気候変動による環境変化、災害の激甚化といった、日本の海を取り巻く現実的な課題があります。国交省はこうした状況に対し、海洋ドローンを自動化・省人化、DX、インフラ強靱化、点検強化を支える技術として整理しています。
(出典 国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001993818.pdf)
国の資料が示した「海洋ドローン活用の現在地」
資料集の災害対応分野では、新居浜市消防本部が、災害時の状況確認や捜索等での活用を想定し、市と株式会社セキドが連携協定を締結した事例が掲載されています。あわせて、国内外の主要サプライヤー整理では、CHASING M2 PROおよびFIFISH V6の流通プレイヤーの一社としてセキドの名前が記載されています。
ここで重要なのは、セキドの名前が載ったこと自体よりも、「地域防災の現場で、海洋ドローンが実装される時代に入った」ことを、国土交通省が公的資料として示した点です。自治体、消防、教育、地域事業者と連携しながら社会実装を進めるフェーズに入ったと捉えるべきだと思います。つまり、地域の安全、インフラ維持、環境把握に関わる現実的な手段として見られ始めている、ということです。
防災分野で海洋ドローンが期待される理由
国交省資料では、巨大地震の発災直後には、人命救助や復旧のために航路障害物やインフラ損傷を迅速に把握することが重要であり、実際に海洋ドローンが活用されていると整理されています。さらに、2024年の能登半島地震・豪雨では、ROVによる水中映像取得を通じて底質状況などの確認が行われた事例も紹介されています。
人がすぐに入れない場所、水中の状況が見えない場所、危険を伴う現場で、まず状況を把握する目になること。海洋ドローンの価値は、初動判断を支える情報取得手段として機能する点にあります。
課題は「操縦者不足」より
「即応運用体制の不足」
海洋ドローンの普及課題として、一般的には「操縦者不足」と語られがちです。しかし実際の現場では、それだけでは語り切れません。
本質的な課題は、必要な時に、必要な場所へ、必要な機体と運用人材をすぐに展開できる体制が十分ではないことにあります。国交省資料でも、バリューチェーンの中で「販売・流通」「導入・運用支援」「操作トレーニング」「運用ノウハウ提供」「オペレーター」などが整理されており、海洋ドローンの社会実装には、機体だけでなく、導入支援から運用までをつなぐ仕組みが必要であることが読み取れます。
セキドはこれまで、海洋ドローンにおいても、導入支援、実証、操作講習を継続して行ってきました。だからこそ今後さらに重要になるのは、「機体がある」「操縦できる人がいる」という点だけではなく、必要な現場で、実際に動ける状態をどうつくるかという視点です。自治体、防災機関、教育機関、地域事業者との連携を含めた運用設計こそ、これからの社会実装の鍵になると考えられます。
環境・インフラ・地域DXにも広がる活用領域
資料集では、海洋ドローンの活用分野として、水産、環境調査、災害対応、観光、海洋教育など、幅広い領域が示されています。特に環境やインフラの文脈では、老朽化が進む港湾施設、海洋環境の変化、洋上風力を含む海域利用の多様化などを背景に、継続的な調査、観測、点検、監視の必要性が高まっていることが示されています。
海洋ドローンは、こうした課題に対して「より安全に」「より少人数で」「より継続的に」データを取得するための道具です。だからこそ今後は、水中を撮れる機材としてだけではなく、地域DX、インフラ維持管理、環境モニタリングの基盤として導入されることが重要になります。
既存のダイバーとの協業も、
社会実装の重要な視点
海洋ドローンの活用を考えるうえで、見落としてはならないのが既存のダイバーとの協業です。海の現場では、長年にわたり潜水士やダイバーの経験と技術が支えてきた領域が数多くあります。一方で、潜水作業には身体的負荷や安全上の制約があり、長時間作業や危険箇所での確認が難しい場面も少なくありません。
だからこそ海洋ドローンの価値は、ダイバーの仕事を単純に代替することではなく、人が入る前に状況を確認する、長時間の観測を補完する、危険度の高い場所の初動確認を担うといった形で、現場の選択肢を増やすことにあります。
特に今後は、ダイバーの高齢化や担い手不足、作業時間・体力面の制約も見据えながら、ダイバー自身が海洋ドローンを使いこなせるようになることが、社会的にも大きな意味を持つと考えられます。
潜水の知見を持つ人材が海洋ドローンを活用できれば、水中の状況把握、点検、調査、災害対応の精度と安全性はさらに高まります。
海洋ドローンの社会実装は、まったく新しいプレイヤーだけで進むものではありません。既存の現場技能と新しい技術をどうつなぐか。そこにこそ、本当の実装価値があります。
海洋ドローンの価値は、
現場に応じて初めて具体化する
今回の国交省資料が示しているのは、海洋ドローンが一部の特殊な用途にとどまらず、防災、環境、教育、インフラ維持管理など、さまざまな現場に広がる可能性を持っているということです。
一方で、その活用方法は一様ではありません。求められるのは、単に機体を導入することではなく、現場の目的、環境条件、運用体制に応じて、どのように使うのが現実的かを整理することです。
海の現場は、地域ごと、用途ごとに条件が大きく異なります。だからこそ今後は、海洋ドローンを何ができる機材かという視点だけでなく、どの現場で、どのように役立てるのか”という視点で具体化していくことが、より重要になっていくと考えられます。
海洋ドローンの導入・活用について
セキドでは、こうした現場ニーズに対応するため、ハイグレード水中ドローン2機種の取り扱いを開始しています。今回ご紹介するのは、CHASING X と QYSEA FIFISH W6 MAX です。どちらも高性能な産業用機ですが、得意とする役割にはそれぞれ違いがあります。
CHASING X
水中の広い範囲を、速く、自在に確認したい現場に
CHASING X は、水中をスピーディーかつ自由度高く移動しながら確認できるハイグレードROVです。
業界最高水準の4.5ノットという高速航行性能に加え、独自のOctoDrive推進システムにより、360度全方向への移動が可能です。前後左右だけでなく、複雑な構造物の周辺でも柔軟にポジションを取りやすく、広いエリアや入り組んだ場所の確認に向いています。
撮影性能も高く、180度の広角視野、4Kカメラ、12,000ルーメンのLEDライトを備えているため、暗所や視界が限られる環境でも、水中状況を鮮明に把握しやすいのが特長です。最大潜水深度は350m、作業半径は400mに対応しており、より広範囲・高難度の現場にも対応できます。
さらに、SDKによるカスタマイズが可能なオープンプラットフォームで、各種センサーや機械アームなどの追加にも対応しています。そのため、単なる映像確認だけでなく、今後の機能拡張や現場ごとのカスタマイズも視野に入れたいユーザーに適した一台です。
こんな現場に向いています
港湾設備や護岸の広範囲確認、複雑な構造物周辺の点検、水中での高画質撮影、今後センサー連携や拡張運用を見据えた現場。
QYSEA FIFISH W6 MAX
水中点検・非破壊検査を、より実務的に進めたい現場に
QYSEA FIFISH W6 MAX は、特に水中インフラや設備点検、非破壊検査(NDT)の現場を強く意識したモデルです。
4.5ノットの高い走行性能と強い推進力を備え、潮流のある環境でも安定した作業がしやすく、15kgの高ペイロードにも対応しています。各種NDTツールに対応しているため、洋上エネルギー設備、水中インフラ、大型船舶などの複雑な現場で、点検前の調査から定期点検、補修後の確認まで幅広く活用できます。
また、自動航走システムやAI測量機能を搭載している点も特徴です。「ただ映像を見る」だけでなく、測位や計測、マッピングといった業務にもつなげやすく、より実務的な水中点検を支える設計になっています。
加えて、標準搭載の陸上電源ユニットにより、長距離かつ長時間の連続作業にも対応しやすくなっています。バッテリー制約に左右されにくいため、安定した電力供給のもとで、水中ミッションを中断しにくい点も、現場運用上の大きなメリットです。
こんな現場に向いています
橋梁や港湾設備の水中点検、船体点検、水中インフラ調査、洋上エネルギー関連設備の確認、非破壊検査を伴う業務用途。
2機種の違いをわかりやすく言うと
とてもシンプルに言えば、
CHASING X は「速く、広く、自在に見たい現場」に強く、
FIFISH W6 MAX は「点検・検査をより実務的に進めたい現場」に強い
機種です。
もちろん、どちらも高性能な産業用水中ドローンなので重なる用途はありますが、
「まず水中をしっかり見たいのか」
「点検・検査業務まで見据えるのか」
で、選び方は変わってきます。
水中ドローンは現場に合わせて選ぶことが重要
水中ドローンは、機体ごとの性能差も大きく、現場条件によって最適な選択が変わります。水深、潮流、確認したい対象、撮影重視か点検重視か、将来的にセンサーや検査機器を追加するのか。こうした条件によって、選ぶべき機体や運用方法は異なります。
そのため、水中ドローンは「とりあえず高性能なものを選ぶ」のではなく、どの現場で、何のために使うのかを整理したうえで導入することが重要です。
水中ドローンの導入・活用について
セキドでは、水中ドローンの機体選定から、導入支援、実証、操作講習、運用相談まで、現場に即した形でサポートを行っています。災害対応、インフラ点検、環境調査、教育活用など、用途や現場条件によって必要な機体や運用方法は大きく異なります。
「どの機体が適しているのか知りたい」
「まずは実証から検討したい」
「自治体や法人として、どのような活用が現実的か相談したい」
そのようなご相談がありましたら、ぜひセキドまでお問い合わせください。現場の目的に応じた最適な活用方法を、導入から運用まで一緒に整理いたします。
報道発表資料「次世代海洋モビリティビジョン」を策定しました
~海洋ドローンでデータ駆動型ブルーエコノミーを拓く~
[国土交通省総合政策局海洋政策課]




お問い合わせ
お買い物ガイド
ドローンガイド












