究極の空撮ドローン!7年ぶり待望の Inspire 3 を開封&レビュー
こんにちは、セキドの村田です。
DJIが誇る、空撮フラッグシップドローン INSPIRE(インスパイア)シリーズですが、先代 Inspire 2 の発売から約7年……ユーザーから「次期モデルはいつなのか?」と、日頃より多く問合せをいただいておりました。そんな中、さまざまな新機能を搭載した新モデル DJI Inspire 3 が、2023年4月12日、遂に正式発表されました。
発表される度にドローン空撮のクオリティや可能性を押し上げてきた画期的な Inspireシリーズですが、新型は一体どの様な進化を遂げて現れるのでしょうか。今回は、そんな全ドローンユーザーが関心を寄せる Inspire 3 の実機レビューと画期的な新機能の数々を説明させていただきます。
また、セキドでもすでに展示機を導入し、実際に製品をご覧いただきながらの商談を開始しております。レビューを読むまでもなく商談に進みたいという方は、フォームまたはお電話にてご連絡ください!すぐにスケジュールを調整させていただきます。
Inspire 3 は何が進化したのか?
Inspire 3 は空撮ドローンの枠を超えた、全く新しいカメラプラットフォームとなりました。専用設計のフルサイズセンサーカメラ Zenmuse X9-8K air を搭載し、8K動画撮影が可能になった点も十分なインパクトですが、何といっても最大の特徴は、測量用ドローン等に使用されるRTK機能に対応した事。これによりcmレベルでフライト中の位置補正が可能になり、映画やテレビ撮影などで使用される「ドリー」や「クレーン」「ケーブルカム」等の動作を再現し、それらと同等以上のハイクオリティな映像表現を操縦者のスキルに依存する事なく撮影が可能になりました。
また、既製タイムコードジェネレーターを使用する事で、タイムコードの同期も可能になり、今まで以上に他の撮影機材との親和性も上がりました。
今回の進化によって、Inspire 3 は「ドローン=真俯瞰や高い所からの映像のみを取る機材」といった概念を打ち崩し、無限の可能性を持った文字通り “空飛ぶ特機” となってくれそうです。
Inspire 3 のセット内容
ここからはそんな Inspire 3 の魅力と機能を実機を見ながら深堀りしていきます。気になる機体やカメラは後ほどしっかり紹介しますので、まずは焦らず周辺機器から見ていきましょう。
ケース&周辺機器
ケースはキャスター&ハンドル付きのスーツケース型にグレードアップ。ラッチはダイヤルロック式になり盗難防止や防犯性も向上しています。
利便性・収納力はもちろん、産業用モデルとも一味違った高級感あふれる作りが特徴的ですね。
所有欲をくすぐるケース本体のアルマイト加工のプレート
ケース内には、機体とジンバル、レンズ、バッテリー、送信機など、必要な物がほとんど収納可能。2台目の送信機や予備バッテリーを追加購入した場合に備えて、しっかり収納スロットが用意されています。
機体に装着したものも含めると最大12本までのバッテリーが収納可能で、全て使い切るとすると最長168分というフライト時間を確保します。
充電器はコンパクト設計ながら、バッテリーが8本同時に装着可能な優れモノ。2つのバッテリーを 0→90%まで35分で充電できる急速充電に対応し、2本同時使用が必須な Inspire 3 の利便性が大きく向上しました。
Inspire 3 は標準セット内容に殆どの物が含まれているため、必須オプションとしてはレンズのみで、後は必要に合わせて、2台目の送信機やRTK機器(D-RTK2/ネットワークRTK)、予備バッテリーを追加するだけで撮影シーンに応じたセットアップが可能です。
気になる機体の細部をチェック
それでは待望の実機をしっかりチェックしていきましょう。Inspireシリーズのアイデンティティ、自由なジンバル操作を実現する上下可動式のランディングギアは、プロペラ映り込み防止等のため、前開きに変更されたことが外観の大きな変更点。
収納時は、Inspireシリーズおなじみのトラベルモードになっており、解除方法も同様です。
また、様々な撮影シチュエーションに対応するべく、ランディングギアは飛行中に任意の位置に変更可能です。先代で多く発生した「サビでギアが動作しない」といったトラブルを防止するため、ギア駆動部にはブーツが装着され耐久性が向上しました。地味ながら非常に重要な改良ポイントです。
バッテリーも従来のTB50からTB51へと進化。互換性は無いので予備バッテリーが欲しい場合は、新たに買い増しが必要となります。また、電源を切らずにバッテリー交換が可能な「ホットスワップ機能」に対応し、撮影時の作業性に大きく改善します。
収録メディアは、従来の DJI CINESSD が使用不可となり、Ronin 4D にも対応した DJI PROSSD 1TB のみが装着可能に。
目玉機能のチルトブースト(上向き80°撮影)や360°パンに対応するため、FPVカメラ/障害物センサーの搭載位置の見直しも行われています。FPVカメラはナイトビジョン&ライブビュー品質の大幅アップデートによって、暗所での操作性が格段に向上、視野角も161°と Inspire 2 のおおよそ2倍となり、周囲の確認がしやすくなりました。
次はいよいよ、FPVカメラ以上に性能が向上したメインカメラを見ていきましょう!
専用設計された8K対応空撮カメラ
お待たせしました。Inspire 3 の本丸、メインカメラは、Ronin 4D に搭載されている Zenmuse X9 を空撮用へ最適化した「Zenmuse X9-8K Air」を搭載。待望のフルサイズセンサーながら、X9 のおよそ半分、500gと脅威の軽量化を実現しました。社外品のレンズは装着できず、DJI独自規格のDLマウントレンズのみ対応ですが、既存ラインナップの24/35/50mmと新開発の超広角18mmレンズに対応し、幅広い映像表現が可能です。
また、軽量化のため従来製 X9 にある内蔵NDフィルターは非搭載となり、別途汎用NDフィルターを使用する必要があります。
新開発の X9-8K Air(左)と、従来の X9-6K(右) 軽量化の為、バランス調整機構などが廃止されている
新開発の超広角18mmを実際に装着した状態
実際に操作してみると、機体の映り込みを無視すれば上向き90°以上までのチルト操作が可能なのも驚きです。これにより、撮影対象を下から煽るような迫力のある映像が撮影でき、Inspire 3 一台で地上から空中までシームレスな映像表現が可能になりました。
空飛ぶ特機を操る送信機&アプリ
最後は、抜群の操作性と最大3名による操縦とカメラ操作に対応し、空飛ぶ特機を実現したフライトアプリに対応した送信機を確認して終わりにしましょう。送信機は、最新の産業用ドローン Matrice 350 RTK/Matrice 30 などですでに導入されている DJI RC Plus が採用されました。繊細な操作が可能なスティックや必要な設定を素早く呼び出すカスタムボタンを搭載し、画面は7インチ/1200ニトの高輝度で、屋外での視認性も十分です。
フライトアプリは、Inspire 3用 DJI Pilot 2アプリとなっており、映像撮影時の操作性やモニタリング性が向上しています。先代と比較すると、送信機自体がしっかりと手に馴染み、ボタン配置、スティックの操作フィーリングなど、どれを取っても秀逸な操作感が魅力的。新開発のストラップも非常に良くできていて、送信機を絶妙な位置にストレスなく固定する事が可能です。長時間のフライトでも全く重さや疲れを感じない点は、実際に撮影業務で使用するカメラマンにとって重要なポイントですね。
「高輝度遠隔モニター+ハンドグリップコンボ」を使用してジンバルを制御した様子
DJI RC Plus を2台同時接続して、機体とジンバルを別々に操作するデュアル制御に加えて、Ronin 4D や DJI Transmission といった、DJI PROシリーズで使用される「高輝度遠隔モニター」や「DJI 3ch Follow Focus」「DJI Master Wheels」を接続してのジンバル制御も可能。異なる撮影ツール同士での親和性が高いのも DJI ならではですね。
また、今回からWaypoint Pro(ウェイポイントプロ)が新機能として新たに実装され、幅広い設定項目を使用して、飛行ルート計画と撮影計画が可能に。目玉機能のリピータブル ルートモードや3Dドリーモードを使うと、一度設定したコースをcmレベルの誤差で繰り返し飛行しての撮影はもちろん、前後スティック操作だけで好きな速度・好きなタイミングで行き来する動作が可能になり、革新的な自動撮影を簡単に実行することができます。撮影現場でおなじみのドリーやクレーン、ケーブルカムの動作を地上・空中問わず行えるイメージですね。これらの機能を使う場合は、高い再現性や飛行精度を確保する為にもD-RTK2やネットワークRTKとの併用がお勧めです。
Inspire 3✕Ronin 4D だから撮れる映像制作
Inspire 3 が登場し、Ronin 4D や DJI Transmission を含む DJI Proシリーズの充実を受けて、セキドでは最新の DJI Proシリーズだから撮れる映像作品を公開いたしましたので、ぜひご覧ください。
また公開を記念して、2023年7月27日(木)18時より「無料WEBトークショー『UNLIMITED SHOOTING』プロが語る撮影の舞台裏」を開催いたします。撮影チームから、空撮カメラマン 榎本 幸太郎氏、カメラマン 豊島 猛氏、ディレクター 川部 直人氏をお招きし、撮影に使用した DJI PROシリーズの魅力や映像制作の可能性、撮影秘話をお伝えする特別なトークショーですので、皆さんぜひご視聴ください。
無料WEBトークショー
『UNLIMITED SHOOTING』プロが語る撮影の舞台裏
Inspire 3 を購入するには?
いかがでしたでしょうか。これまでも最新のドローン空撮技術を投入し、世界を驚かせてきた Inspireシリーズですが、今回の Inspire 3 も新時代の空撮フラッグシップ機にふさわしく、数々の画期的な新機能をまとい帰ってきました。今回は、開封直後の製品レビューとなりましたが、次回は各機能に関してさらに詳しく解説していきたいと思います。
DJI認定ストア 東京虎ノ門 では実機を手元に各機能のご説明も可能です。ご案内をご希望の際は、ぜひ事前にご連絡ください。すでに導入を検討中でしたら、お気軽にフォームよりお問い合わせください!