米作りの省力化に挑戦!「農業ドローン×直播」で本当に儲かるか?[直播実践編]
こんにちは、セキド農業チームの槇島です。セキド農業チームが拠点を置く「春日部みどりのPARK」がオープンし半年が経過しました。8月には春日部みどりのPARKと春日部市が「農業と観光分野における連携・協力に関する協定」を締結し、春日部に根を下ろした活動をさらに拡大していく予定です。セキド農業チームも春日部みどりのPARKの一員として地域の皆さまと連携をしている一方で、日々全国を飛び回り体験会や実証実験行っています。
特に「農業ドローンによる米の直播プロジェクト」では、新潟県五泉市の実際の圃場にて播種から収穫、販売まで実践し、「どれだけ省力化できたのか?」「いくら儲かるのか?」を検証しています。前回に続く[直播実践編]の今回は、代かきとDJI製農業ドローンによる直播の実践レポートをお伝えいたします。
前回の[導入編]ではドローン直播のメリット・デメリット、セキドが目指す新しい農業の形について熱くお伝えしていますので、「直播ってなに?」という方はぜひこちらからご覧ください。
米作りの省力化に挑戦!「農業ドローン×直播」で
本当に儲かるか徹底検証[導入編]
-もくじ-
1. 新潟県五泉市で直播プロジェクトを実施
2. DJI製農業ドローン×直播実践レポート!
3. 自動航行での散播結果と今後の見込み
4. まとめ・ドローン直播の紹介動画
新潟県五泉市で直播プロジェクトを実施
今回のプロジェクトの第一歩として、下記の内容でドローンによる直播を実施しました。
※初日に代かき、二日目に直播を行いました
場所:新潟県五泉市
圃場:渡辺農園様に快くお貸しいただいた圃場 広さ2反(2,000平方メートル)
用意したもの:
・代かき用のトラクター(ハロー付き)
・DJI製農業ドローン「AGRAS T10」
・リゾケア(コシヒカリ) ※約5.6kg 乾もみ重として
・ベルーガ1キロ粒剤(除草剤) ※2kg
DJI製農業ドローン×直播実践レポート!
実践当日の様子や渡辺農園様のインタビューなどをYouTubeにアップしています。映像で見るとよりわかりやすいので是非そちらもご覧ください。
代かき
田面が平らになるようにならし、土と水を撹拌し硬さを調整する作業です。トラクターにハローという農機具を付けてならしていきます。圃場によって土の質や水分量などが違ってきますので土地に併せた調整が必要で、リゾケア直播の場合は通常の移植栽培と同じか、もう少し柔らかめくらいがいいとのことです。
今回は直播前日に代かきを実施しました。渡辺さんには同じところを何度も代かきするなど念入りに行っていただきました。
直播前日に代かきを行うということに農家の皆さまは驚かれるかもしれません。移植栽培にしても、これまでの直播栽培にしても、代かき後は2~4日ほど寝かせて水を抜き、田面の硬さをベストな状態に調節する必要があります。
リゾケアは酸素供給剤がコーティングされているので、泥に埋まっても窒息しません。土中播種を(ある程度)許容してくるので、代かき翌日の柔らかめの田面仕上げで安定した苗立ちを確保できるのです。
こちらは直播当日に高さ1mからゴルフボールを落として土の硬さを計った様子で、黄色いボールが沈み込んで少し顔を出すくらいがベストです。
代かきに際して、セキドメンバーもトラクターに乗り込み渡辺さんの作業の様子を見せてもらいましたが、一秒も休まる暇の無い複雑な作業でした。後ろを向いて土の様子を確認し、前を向いてまっすぐ進んでいるか確認し、前進後退を繰り返す感じです。代かきが進むにつれ、土と水が混ざるのでどこを走ったのか、本当にまっすぐなのかが見た目からはわからなくなっていきます。
セキドではそんな作業の負担を軽減するため、トラクターや田植え機など様々な農機に後付け可能な低価格で高機能な「FJD農機自動操舵システム」も取り扱っています。すでにお使いの農機に取り付けるだけで、誰にでも精度の高い直進運転が可能で、効率が上がり負荷が軽減される最新農機に生まれ変わります。99万円~の予算で導入できるシステムの詳細はコチラをご覧ください!!
いざ直播!
それでは DJI Agras T10 を用意して、いざ直播です。
リゾケアの散播マニュアルによると、1反あたり2.5kgの種子をムラなく播くように指示があります。これをマニュアル飛行で正確に行うのは職人技の域になります。難しい操縦技術の研鑽を必要とせず収量を上げるために、完全自動航行での直播を行いました。最新の農業用ドローンではボタンを3回押すだけで正確にムラなく直播ができるのです。
●目標量
T10タンクへの積載量 | 5.6kg |
播種量 | 5.0kg ※タンク残量0.6kg |
1反あたりの播種量 | 2.5kg |
今回は特に満遍なく散播ができるように、このような斜め向きの航路で半分の2.5kg、向きを90°変えて残りの2.5kgと2回のフライトミッションを組みました。
フライト1回目 | フライト2回目 |
※クリックで拡大します
斜め向きの航路でも±2.5cmの誤差精度で飛行し、しかも飛行速度と散播量を常に管理しながら自動で散播してくれますので、誰でも簡単に、正確に散播することが可能です。
ベルーガ1キロ粒剤(除草剤)の散布
直播と同時に散布する除草剤も Agras T10 で散布しました。こちらも同じく自動航行なのでボタンを3回押すだけです。ドローン一つで仕事が終わるのはとてもラクですね。
作業後はコーティング剤や薬剤などが付着して汚れてしまいますが、T10 を始め、最新のDJI製農業ドローンは IP67 の防塵防水性能を持っていますので丸洗い可能です。タンク内部やモーターに固着すると不具合の原因になりますのでしっかりメンテナンスしてあげましょう。
農業用ドローンの水洗いはコチラ
結果と今後の見込み
ドローンで直播した種子を見てみましょう。紫色にコーティングされた種子がちゃんと落ちていますね。この後自重で土の中に埋まっていきます。
散播量はどうでしょう?リゾケアの散播量の設定は1反あたり2.5kgでした。結果は1反あたり2.55kgと、ほぼ目標通りに直播ができました。
T10タンクへの積載量 | 5.6kg |
播種量 | 5.1kg ※タンク残量0.5kg |
1反あたりの播種量 | 2.55kg |
果たしてマニュアル操縦でここまで正確にできたでしょうか…
これから一体どれだけの芽を出してくれるか楽しみです。今後は渡辺農園さんに日々の生育を見守っていただき、追加の除草剤や肥料なども農業ドローン T10 や T30 で散布していく予定です。
まとめ
従来、その難しさからなかなか普及しなかった直播栽培に挑戦しました。DJI製農業ドローンとリゾケアの活用で直播が実用的になれば、コスト低減や省力化が期待できます。「代かき翌日に直播が行えること」と「直播当日はドローン一台でボタンを3回押すだけで簡単かつ正確に仕事が終わること」は農家の皆様にとって驚きだと思います。
次回以降の記事では、芽が出てからの様子や特殊なカメラで生育状況が確認できる農業用ドローン P4 Multispectral を使用した可変施肥を実施した様子や、気になるコストや収量など「本当に儲かるか?」についても紹介しますので、楽しみにお待ちください。
もう一度YouTubeのリンクを貼っておきますので、今回の記事の詳しい手順や渡辺農園様の生のご意見などを是非そちらでご確認ください!
セキドでは、今回紹介した農業用ドローンだけでなく、測量や点検などで活躍する産業用ドローンや水中ドローン、一般の方も撮影で使う空撮用ドローンなど様々な取り扱い製品やサービスを紹介する無料セミナーやイベントを定期的に開催しています。なかなか目にする機会のない製品の動きや性能を実際に見ていただける、導入検討中の事業者様に最適なイベントになっておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
また、セキド農業チームでは、農業ドローンを始めとするスマート農業機材の販売だけでなく、その活用方法についてもたくさんのノウハウを持っています。環境や規模など様々な圃場に合わせたサポートが可能ですので、農業をスマート化したい、農業ドローンに興味がある、という方はぜひお気軽にご相談ください。