農業ドローン活用事例:遮光剤散布・果樹液肥散布・しきみ防除に挑む株式会社ソラモの取り組み
こんにちは。セキドで農業用ドローンを担当する宮田です。農業ドローンの活用は、水稲防除だけに限られません。ビニールハウスの遮光剤散布・洗浄、果樹への液肥散布、急傾斜地での防除作業など、作物や地域課題に合わせた活用が広がっています。
静岡県三島市・富士宮市を拠点に活動する株式会社ソラモ様は、「空から、農業の未来をひらく」を掲げ、静岡の農業現場に根差したドローン活用を進めています。ソラモ様の公式サイトでも、伊豆の国市でのイチゴハウス遮光剤散布、ビニールハウス洗浄、牧之原での果樹液肥散布、清水区での「しきみ(樒)」防除など、地域特性に合わせた事例が発信されています。
今回は、株式会社ソラモ様に「水稲以外の農業ドローン活用」についてインタビューしました。

この記事でわかること
・ビニールハウスへの遮光剤散布・洗浄でドローンを使うメリット
・果樹・茶園などで液肥散布にドローンを活用する考え方
・急傾斜地のしきみ・さかき(榊)防除で期待できる省力化
・水稲以外の作物で農業ドローンを導入する際のポイント
作物や圃場条件によって、適した機体・散布方法は異なります。
現在の作業内容をもとに、農業ドローンの活用可否を確認できます。自社圃場で使えるか相談する
静岡の農業現場で広がる、
農業ドローンの新しい用途
農業ドローンは、水稲防除を中心に導入が進んできました。一方で、農業現場では高齢化や人手不足、夏季の高温対策、中山間地での作業負担など、作物ごとに異なる課題があります。
農林水産省によると、令和6年の基幹的農業従事者数は111.4万人で、平均年齢は69.2歳、70歳以上の割合は60.9%とされています。農作業の省力化や安全性向上は、今後の農業経営において重要な課題です。
特に稲作や果樹では、70歳以上の農業従事者の割合が高く、作業負担の軽減と効率化が求められています。水稲以外の作物でも、作業負担の軽減と効率化が求められています。
その中でソラモ様は、静岡の地域特性に合わせ、ビニールハウス、果樹、中山間地のしきみ・さかきなど、さまざまな農業現場でドローン活用を進めています。
1. イチゴハウスの遮光剤散布・洗浄:
高所作業を減らし、暑熱対策を支援
――ビニールハウスへの遮光剤散布に取り組まれた背景を教えてください。
株式会社ソラモ様:
静岡県内には、イチゴ栽培が盛んな地域があります。近年は夏の高温対策が重要になっており、定植前後のハウス内温度をどう抑えるかが、生育管理の大きな課題です。
遮光剤をハウス屋根に塗布することで日射を抑える対策はありますが、従来は高所での作業が必要でした。夏場の作業負担も大きく、生産者様にとって大きな課題になっていました。
そこでソラモでは、農業ドローンを活用し、ビニールハウスの屋根へ「レディソル」や「ファインシェードスカイ」などの遮光剤を散布する取り組みを進めています。高所に人が登る作業を減らしながら、夏場のハウス内温度対策を支援できる点が大きな特徴です。
株式会社ソラモ様:
遮光剤は夏の強い日差しを抑える一方で、季節が進むと作物に光を取り込むために除去が必要になります。
――遮光剤散布後の洗浄にもドローンを活用されているそうですね。
イチゴの苗が育っている時期に、長時間ハウスを閉め切って洗浄作業を行うと、ハウス内の温度上昇が課題になります。ドローンで短時間に洗浄できれば、作業時間を抑えながら、生育環境への影響を減らしやすくなります。

2. 果樹への液肥散布:
ダウンウォッシュを活かした散布作業
――果樹や茶園でのドローン活用について教えてください。
株式会社ソラモ様:
静岡にはミカンや茶など、果樹・茶園の現場も多くあります。果樹の場合、「上空から散布しても葉の奥まで届くのか」という懸念を持たれることがあります。
大型の農業ドローンは、ローターによる下降気流(ダウンウォッシュ)を活かして散布できます。葉を揺らしながら薬剤や液肥を届けることで、手作業では負担が大きい散布作業の省力化につながります。
――果樹散布で重要になるポイントは何ですか。
株式会社ソラモ様:
作物の形状、樹高、畝の幅、周辺環境によって、適した機体や飛行方法は変わります。単にドローンを飛ばすだけでは、期待する散布効果は得られません。
事前に圃場条件を確認し、散布量、飛行高度、速度、ルートを調整することが重要です。ソラモでは、現場ごとに条件を確認しながら、作物に合わせた散布設計を行っています。
3. しきみ・さかき防除:
急傾斜地の重労働をドローンで支援
――しきみやさかきの防除にドローンを活用されている点も特徴的です。
株式会社ソラモ様:
しきみやさかきは、仏事・神事に使われる作物です。良質な作物を育てるには定期的な防除が必要ですが、栽培場所は山間部や急傾斜地になることがあります。
急斜面で重いタンクを背負って作業するのは、体力的な負担が大きく、転落リスクもあります。こうした現場では、ドローンを活用することで、人が斜面に入る回数を減らし、防除作業の負担軽減につなげられます。
――急傾斜地での散布では、どのような点が重要ですか。
株式会社ソラモ様:
平坦な水田とは異なり、中山間地では地形の変化が大きく、飛行ルートの設計が重要です。高低差や障害物、通信環境、RTKの受信状況を確認したうえで、安全に飛行できる計画を立てる必要があります。
しきみのように葉が密集する作物では、散布の到達性も重要です。現場の条件に合わせて、飛行高度や速度を調整しながら作業します。


4. 水稲だけではない:
地域課題に合わせた農業ドローン活用へ
――水稲以外の作物で、農業ドローン活用を進める意義をどう考えていますか。
株式会社ソラモ様:
水稲防除は農業ドローンの代表的な用途ですが、地域の農業課題はそれだけではありません。
ビニールハウスでは暑熱対策、果樹では散布作業の省力化、中山間地では急傾斜地での作業負担軽減が求められています。作物や地域ごとに課題は異なります。
農業ドローンの価値は、単なる時短だけではありません。人が圃場に入る回数を減らすこと、作物を踏むリスクを減らすこと、適期に作業を行いやすくすることも重要です。
また、地域でのスマート農業推進には、生産者だけでなく、行政や関係団体との連携も重要です。農業ドローンの活用を広げるには、実際の作業現場を見てもらい、導入効果や運用上の課題を共有することが欠かせません。ソラモでは、地域の農業課題に合わせた活用提案を通じて、静岡県内でのスマート農業の普及に取り組んでいます。

農業ドローン導入前に確認すべきポイント
ビニールハウス、果樹園、中山間地などで農業ドローンを活用する場合、作物や圃場条件によって適した機体・散布方法・運用体制が変わります。
特に水稲以外の作物では、単にドローンを飛ばすだけではなく、作物の高さ、葉の密度、圃場の傾斜、周辺環境、散布する資材の特性に合わせた設計が必要です。
導入前には、次の項目を整理しておくと、機体選定や作業可否の判断がしやすくなります。
- ・作物の種類:水稲、果樹、茶、しきみ、さかき、施設園芸など
- ・栽培条件:樹高、畝幅、株間、葉の密度、ハウス形状
- ・圃場条件:面積、傾斜、高低差、障害物、周辺道路、隣接圃場
- ・散布内容:農薬、液肥、遮光剤、洗浄水などの種類
- ・作業条件:散布量、散布幅、飛行高度、作業時間、実施時期
- ・測位・通信環境:RTKの利用可否、通信状況、山間部での受信環境
- ・安全配慮:周辺住民、作業者、隣接作物、道路への飛散対策
- ・運用方法:作業委託、自社導入、既存機体の活用、新規機体の選定
農業ドローンの導入可否は、現場条件によって変わります。まずは現在の作業内容や圃場条件を整理し、適した運用方法を確認することが重要です。
まとめ:
農業ドローンは、地域農業の課題解決ツールへ
株式会社ソラモ様の取り組みは、農業ドローンを単なる効率化ツールではなく、作物特性や地域課題に合わせた課題解決手段として活用している点が特徴です。
ビニールハウスの遮光剤散布・洗浄、果樹への液肥散布、急傾斜地でのしきみ防除は、いずれも従来の人手作業では負担が大きい分野です。
水稲防除で培われた農業ドローンの技術は、今後さらに多様な作物・圃場へ広がっていく可能性があります。農作業の省力化、安全性向上、適期管理を進めたい方は、農業ドローンの活用をご検討ください。
遮光剤散布、果樹散布、中山間地での防除など、作物や現場条件に合わせて機体選定・運用方法をご提案します。

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