災害時におけるドローン活用!埼玉県春日部市での水難救助訓練・物資運搬訓練をレポート
こんにちは、DJI産業用ドローンを担当しています鈴木です。
先日、埼玉県春日部市消防本部と共同で2種類のドローンを用いた水難救助訓練と補給物資の運搬訓練を行いました。
訓練内容やカメラ搭載ドローンの有用性や運搬ドローンを用いた新たな運搬技術と活用についてご紹介いたします。
今回の訓練ではドローンでの災害時の捜索や運搬の効率性の向上が確認できましたので、是非このコンテンツを通じて、今後の業務に活用していただければ幸いです。

消防訓練について
目的
この訓練では、災害発生時に協力要請を行う際の協定先事業者と春日部市消防本部の連携強化を図り、協力体制に万全を期すことを目的としております。
参加機関
・春日部市警防課警防担当
・春日部消防署指揮隊
・春日部消防署救助隊
・株式会社セキドパートナーズ

今回の合同訓練の内容は、全国消防長会発行『週間情報[NO.0629]令和6年7月23日号』にも掲載されていますので、併せてご覧いただければ幸いです。
使用機材
・DJI Matrice350 RTK

DJI Matrice 350 RTK(以下、M350 RTK) とは、世界中で一番活用されている、業務用のドローンです。
最大飛行時間 55分と防塵防滴機能をもった保護等級 IP55、複数のペイロードに対応し、堅牢な作りでハードな環境にも耐えるため、様々な業務において長時間使用できるドローンとして、DJI産業用ドローンの代表的なモデルです。
・DJI Zenmuse H30T

M350 RTK に搭載するペイロードで、レーザー距離計・ズームカメラ・赤外線カメラの一体型ハイブリッドカメラとなっております。ドローンの動きや風の影響を受けても安定した撮影が可能な3軸ジンバルと、防塵防滴機能を持った保護等級 IP54を備えています。
また、前作の DJI Zenmuse H20T より格段に性能が向上しているため、ズームカメラや赤外線カメラの解像度も注目いただきたいポイントです。Zenmuse H20T と H30T の違いを詳しく知りたい方は、下記コンテンツをご覧ください。
業務用ドローン搭載マルチセンサーカメラ
DJI Zenmuse H30シリーズを実機レビュー!
実施場所
場所:埼玉県 古利根川
天候:晴れ
風速:地上1 ~ 3㎧

水難救助訓練の詳細
今回の水難救助訓練は、河川で遭難している要救助者に対して、ドローンと救命ボートを併用して、情報収集から伝達、迅速な発見、救助を行う内容となっております。

状況に応じた2通りの捜索
今回の現場では、2班に別れての捜索を行いました。
・第1班:ドローンで上流部から先行捜索
⇨ 上流には堤防があり救命ボートが入りづらいため、ドローンで空からアプローチ
・第2班:救命ボートで下流部を捜索
⇨ 下流部は植物が生い茂っており、ドローンで見えない可能性があったのでボートで捜索

要救助者についてはダミー人形を用意し、赤外線カメラとズームカメラを用いて迅速に発見いたしました。同時刻でお互いの強みを生かした捜索を行うことができ、大変効率の良い訓練となりました。


現場指揮本部へ要救助者を発見した場所の共有し、それにより速やかに救急隊が要救助者のもとへ急行することができました。
今回は見通しが良いため、要救助者の近くでホバリングする M350 RTK の位置を目標に救命ボートが向かいました。その間、M350 RTK はズームカメラを用いて、要救助者の位置を常にトラッキング(捕捉)し、救急隊が到着するまで河川の流れによって動く要救助者の位置や現在の状態を常に共有いたしました。
無事に要救助者が救助され、河川敷に到着したことを確認して M350 RTK も撤収しました。

要救助者の位置情報を共有
M350 RTK のピン機能を使い、要救助者の発見した座標の共有も行いました。オペレーターが持つ送信機に表示されるため、リアルタイムで確認することができる大変便利な機能となっております。

ピン機能についてはレーザー距離計を用いており、光の反射で距離や位置を測定するので、水辺では使用することができないため、要救助者近辺の対象物にレーザー距離計を当て計測しております。
訓練終了後、ドローンの飛行位置や救命ボートの捜索経路の修正などフィードバックを行い、緊急時の対応力強化に向けてすり合わせを行いました。

補給物資運搬訓練について
補給物資輸送訓練では、河川が氾濫し陸地での運送が困難な場合の新たな活用法として、物流用ドローン DJI FlyCart 30 を用いた運搬のデモンストレーション並びにオペレーションの確認を行いました。

ドローンによる物資輸送訓練を行った DJI Fly Cart 30 について知りたい方は、こちらのコンテンツをご覧ください。
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まとめ
今回の訓練では、赤外線カメラや高解像度のズームカメラを用いた上空からの捜索について、目視で確認しづらい部分を補完してくれるため、大変効率が良いとご好評いただきました。
物資を運搬するドローンについては初めての試みでしたが、災害時の新たな活用法として認知していただき、今後の連携強化を行うことができました。
全体を通して、緊急時のドローン活用としてどの機材を使ってどのように問題解決するか、現場ではどのようなオペレーションが最適か、といったことを共有する良い機会だったと思います。
緊急を要する人命救助において、要救助者を発見するまでの時間や効率性はとても重要です。さらに赤外線カメラは人命救助だけでなく、獣害対策や警備、点検の部分でも役に立ちます。
M350 RTK にはサードパーティ製のスピーカーやサーチライトを搭載することも可能で、さらに活躍の場が広がることが期待されます。ドローンの活用をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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また、横浜市金沢区の セキドDJI 横浜ドローントレーニングセンターを中心に各地で開催する実演会は、ドローン導入を検討中の事業者の方に最適なイベントになっておりますので、ドローンを使った業務効率化に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご参加ください。