DJI ドローン|PGYTECH SUBLUE HOBBYWING 総代理店 セキドオンラインストア

こんにちは。セキドの池田です。
今回は、一般社団法人 国際ドローン協会(IDA)の代表理事である榎本幸太郎さんに、千葉県香取郡にあるIDAのドローン施設「東庄町ドローンパーク」でお話を伺ってきました。

記事中盤では DJI Agras T25 を使って5日間で約1,000ヘクタールもの農地に空中散布を行ったという、この夏の一大ニュースも取り上げています。榎本さんのドローン、ビジネスそして人生と向き合う姿勢について知りたい方、農薬散布ドローンの活用事例について詳しくなりたい方は、ぜひお読みください。

 

榎本幸太郎さんについて

ーーまずは自己紹介をお願いします。

こんにちは。国際ドローン協会 代表理事の榎本幸太郎(えのもと・こうたろう)です。10歳から始めた無人航空機の操縦経験は、40年間で17,000時間以上になります。

これまでテレビ局での撮影や貿易会社の経営といった経験があり、ドローンは15年ほど前から飛行させてきました。2018年からは国土交通省HP掲載団体のドローンスクール、2023年からドローンの国家資格である一等、二等無人航空機操縦士が取得できるIDA無人航空機教習所を主宰しています。ドローンは空撮事業だけでなく、農業や産業、イベントなどの事業まで幅広く展開し、日々ノウハウと飛行技術を積み重ねています。現在は東京都江東区に本社を、また千葉県香取郡に実際に教習を行う東庄町ドローンパークを構えています。

東庄町ドローンパークにて
 
昨年は DJI Inspire 3 を使ったプロモーション映像制作にも携わり、こちらの動画では “DJI製品のみ” で作品を撮るという試みも実施しました。

 

無人航空機、そしてDJIとの出会い

ーー榎本さんは、無人航空機とどのようにして出会ったのですか?

10歳のときでしたね。実家が多摩川の近くで、河川敷で飛んでいるラジコン飛行機がうらやましくて毎週見に行っていたんです。でも子供だったから買えるお金はなくて。そしたらある時、飛ばしていた大人から「やってみるか?」ってプロポと機体をもらったんですよ。そのころは世界的にラジコンヘリが大流行していた時代で、それが始まりでした。
 
ーーDJI製品を使い始めたのはいつ頃ですか?

DJIとの出会いは、30代になって貿易会社の経営をしていた時でした。「中国のDJIというメーカーのパーツを使ってマルチコプターを作るとうまく飛ぶらしい」と聞きつけ、すぐにクアッドコプターを作りました。周りには反対されたこともあったんですが、僕、そうすると逆に燃えるタイプなんですよ。「これは将来性があるぞ!」と直感して、NAZAのフライトコントローラーとかはよく使ってましたね。そのうち DJI Phantomシリーズが出てきて、時代がガラッと変わるのをリアルに体感した世代です。
 
ーーDJIの機体を長らく使ってこられたのですね。DJIというメーカーについては、どう思われますか?

「DJIのドローンは中国製だから・・・」という理由だけで受け入れに否定的な人も居ますけど、僕はDJIのことを世界一安全なドローンを作っているメーカーだと思っています。結果として現在の世界シェアはNo.1ですしね。最終的な安全性については使い手が大きく左右する部分でもあるから、大切なのは「どこの国で作られたか」じゃなくて「パイロットがどう使うか」ということだと考えています。

そして、DJIというメーカーの良いところは、“大きな会社になっても初心者にやさしい製品を作り続けているところ” じゃないですかね。世界一のドローンメーカーになっても、ビギナー向けの機体を開発し続けて、ドローンのすそ野を広げようとしている。僕はDJIのそういう姿勢に心を打たれたんです。

撮影現場にて、DJI Inspire 3と

 

全国初の快挙 ドローンを使った1,000ha集団防除

ーー今回の空中散布プロジェクトについて教えてください。

今年ここ千葉県香取郡東庄町では、町内全域の農地への空中散布に使う機材を有人ヘリコプターからドローンに全面的に切り替えました。約1,000ヘクタールの面積を有人ヘリからドローンに切り替えたのは、全国でも初めての事例です。今回の空中散布は、7月13日から7月23日までの予定期間(天候予備日含む)に対して、5日間で散布を完了しました。従来なら延べ150人以上の人員が必要でしたが、今回は58人で完了し、全体で6割ほどの人員削減に成功しました。
 
ーー5日間で1,000ヘクタール?!それはすごいですね!いったい、どんな方法で実現したんですか?

Agras T25 を使って作業をしましたが、今回は「このドローンの性能を100%引き出すこと」がテーマでした。具体的に挙げるとしたら「理論に基づいた徹底的な効率化」と「専用の特殊車両の使用」が大きなポイントであると考えています。
 

1. 理論に基づいた徹底的な効率化

まず散布に参加するメンバーには、全員に国家資格である「一等無人航空機操縦者技能証明」を取得してもらっています。全員というのは、散布を直接行うパイロットおよび飛行監視員のことです。実際にドローンを飛ばしている人なら分かると思うんですが、監視員の仕事は周りを見て先読みすることが大切ですから、僕のところではまずチームとしての練度をベースアップしたいんです。だからドローンのことを本当に理解している人を監視員にしています。

次に、本番に備えるための準備のため、実際に機体を使って散布の練習をします。散布の半年くらい前から月に2回ほど、1日5~6時間はチームで練習をしています。工程ごとにタイムを計って、どの作業にどのくらいの時間が必要なのかをすべてチャートに起こします。とにかくペースアップさせたい。もうね、陸上競技みたいな感じです。最近はChat GPTも使って徹底的に分析します。たとえばバッテリーや機体の温度も重要で、温度によっては充電が必要以上に時間が掛かって効率が悪くなるから、専用の冷却装置も開発して実戦投入しています。実際の作業からロスが大きい所を計算で出して、無理はないけど徹底的に理論とデータに基づく散布を実践する。そうすると、「1時間に10ヘクタールくらい散布できればいいのかな?」とか大体の目安が見えてくる。大切なのは根性論じゃなくて、理論なんですよ。

これだけの現場を経た自分だからこそ持てる説得力があるはずですから、今回の経験をもっと広めたいですね。
 

2. 専用の特殊車両:ドローンポーター

一言で説明するなら、ドローン事業に特化させたカスタム車両です。今回はトヨタ ハイエースをベースに愛知県豊田市の新明工業株式会社さんと一緒に開発しました。先述の散布実績が実現できたのは、この「ドローンポーター」の存在も大きいです。


 
ポイントは、スライドフロア付きで散布用の大きなドローンでも積み下ろしがラクにできるところです。スライドドアを開けると、車両の中央部にはデスクとタワー型PCも積めますから、エアコンの効いた環境でマップ構築作業ができる。砂ぼこりも防いで、何より夏場でも涼しくて快適な作業空間が確保できることは、疲労軽減にとても役立ちました。もちろん軽トラも使うことがありますが、比べるとドローンポーターを導入したチームのほうが効率もいいですし、終わった後の疲れがぜんぜん違いますね。

ドローンポーターに搭載されたスライドフロア。向かって左側には DJI Power 1000 も積載されている。
 
将来的には一般向けに販売を予定しています。カスタム車両ではありますが、現実的でお財布にやさしい値段設定にして、幅広い領域で普及させたいですね。

というのも、5日間で約1,000ヘクタールに空中散布するとなると、農業に限らず空撮や測量といったジャンルの知識と実践経験も必要になってきます。散布前には DJI Matriceシリーズで1000ヘクタールを測量して、DJI Terraでマーキングをする。現地確認には DJI SmartFarm を使って、チームで共有しながら境界線を確かめたりする。こういった包括的な作業はDJI製品だからこそできることだと思います。そしてその性能を最大まで引き出すために、今回はこのドローンポーターが役立ちました。

参考:DJI SmartFarm の操作画面
 
ーードローンによる空中散布について、今後の展望はありますか?

僕はいずれ、全国各地の農業拠点ごとにドローンのサポートができる会社を置くことが求められるようになっていくと思っていて、それが日本の農業が続いていくのに必要なことだと考えています。

 

ドローンを通じて関わる人の人生を豊かに

ーー国際ドローン協会の理念について、教えていただけますか?

国際ドローン協会は「ドローンを通じて関わる人の人生を豊かにする」という理念を掲げています。具体的には、業務やボランティア活動を通してドローンにポジティブな印象を持ってもらって、今よりもっとドローンが社会に受け入れられるようにしていきたいんです。そのための活動のひとつとして、今は障害を持っている子どもたちを対象に月に1回ペースで無料のドローン教室を開催しています。もう3年以上実施しています。

いま僕は仕事でドローンを使っているけれど、根底には「趣味のラジコンが好きだ!」という思いから始まった気持ちがずっとあるんですよ。河川敷でラジコン飛行機をくれた人に、「もし今後、同じようにラジコンをやりたいという若い人が居たら同じようにしてあげなさい」と言われたことがあって、その教えを実践し続けている感じですね。

 

榎本さんからのメッセージ

ーー榎本さんから読者のみなさんにメッセージをお願いします。

これはドローンに限った話ではないのですが、探求心を大切にしてください。たとえば「ドローンに詳しくなりたい!」と思うなら、買ってちょこっと飛ばして終わりにするのではなくて、「機材を買ったお金をドローンを使った仕事で回収するんだ!」くらいの気持ちで向き合って極めること。具体的には「10,000時間の壁」ってものがあると思っていて、どんなことでも10,000時間くらいやるとそれなりにうまくなるし、プロの領域が見えてくるひとつのラインだと考えています。やりこむこと。極めること。それがプロフェッショナルになるための極意だと考えています。

たとえば僕は40年間でドローンに限らず無人航空機について17,000時間以上の経験があります。1年あたり350時間位フライトさせている計算になりますね。機材を買って終わり、資格を取って終わり、にしてしまう人も多いけれど、十分な研究や勉強をすることで必ず次につながるんです。

そして「人生において無駄なことは何ひとつない」ということを覚えておいてほしいです。僕は趣味で登山やスキーもやっていて、これができたから実現につながった撮影もありました。ドローンポーターを思いついたのは以前バイクメーカーに勤めていた経験がもとになってのことだし、自分の身体でした経験っていうのは、いつどんなときに役立つか分からない。だから幅広いことに興味を持って、探求心を忘れないでほしいですね。

 

榎本さんへのご相談はコチラ

いかがでしたでしょうか。今回の取材報告は以上です。

榎本さん、取材のご協力ありがとうございました。榎本さんへのお仕事依頼の相談は下記のリンクボタンよりお願いいたします。

一般社団法人 国際ドローン協会 公式サイト

それではまた次回のスペシャルコンテンツでお会いしましょう。

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