産業用ドローンの自動航行編集が大幅アップデート!設定方法を解説します
こんにちは。セキド産業用ドローン担当の奥です。
この記事では、先日のファームウェアアップデートで大幅にインタフェースが変わりました、DJI製産業用ドローンのPilot 2アプリでの自動航行機能の編集画面について、変化のポイントと使い方を解説します。自動航行機能は産業用ドローンを使った効率的な業務に欠かせない機能ですので、業務の支障が出ないようにイチ早く使いこなしていきましょう!
※2023/8/31 Mavic 3 Enterpriseシリーズのみ対象の更新となっています。
※2023/09/18 DJI RC PLUS送信機を使うMatriceシリーズにも対応しました。(M300RTK&スマート送信機には非対応)
※ファームウェアアップデートは余裕を持って※
セキドでは、より良い状態でDJI製品をお使いいただくために、ファームウェアは最新の状態でご使用いただくことを基本的に推奨しています。しかし、今回に限りましては、「余裕のある時に」アップデートの実施と更新内容の確認をお願いいたします。「更新したら、以前と使用感が変わってしまった」「あれ?普段業務で使っていたあのボタンがいつもの位置にない!」なんてこともありますので、業務の直前に更新するといったことは控えましょう。
自動航行機能の設定方法
1. 飛行ルートから自動航行のルートを作成
Pilot 2アプリのトップ画面から[飛行ルート]を選択すると、作成した飛行ルートなどが並ぶ[ライブラリ]の画面に入ります。
ここでは旧仕様と比べて、作成したルートの検索・絞り込み・順番変更などができるようになりました。絞り込みには、全てのモデルタイプ(飛行ルートの種類)、全ての機体モデル(機種別)、タグ(お気に入り)などが選択できます。飛行ルートのデータ移行などをするための選択は、「対象となるルートの長押し」か画面右上の[チェックボックスボタン]で行うことができます。ルート作成・ルートのインポートは右上の「+(プラス)ボタン」を押していきます。
2. 飛行ルートの種類を選ぶ
ライブラリ画面にある右上の「+(プラス)ボタン」>「ルートを作成」を押すことで「ウェイポイント」・「エリアルート」・「直線ルート」の3つから飛行ルートの種類を選びます。
以前までの「マッピング」と「傾斜」という選択肢は、[エリアルート]に統合されました。
[ウェイポイント]はマップ上で一つずつポイントを作り、それぞれのポイントでどのようなアクション(例:カメラを90度下方向に向けて撮影する)かを設定することで作るルートとなります。[エリアルート]はマップ上で範囲を指定することで、その範囲をカバーする形でデータ取得(撮影)できるルートを自動で組んでくれるモードとなります。[直線ルート]は道路や河川などの細長い現場での撮影に適したマッピングルートを作成するモードとなります。
今回は「エリアルート」の設定画面が大きく変更されましたので、こちらでの解説を続けていきます。
3. マップ上からデータを撮りたい範囲を指定
エリアルートを選択後にマップが表示されますので、ここから撮影したい範囲を囲って選択します。
この画面では新たに右上の「虫眼鏡ボタン」を押すことで「住所検索」ができるようになりました。また、撮影範囲を指定では、以前はワンタップすることで四角形の枠が表示され、そこから多角形にしたり範囲を変更していきましたが、今回のアップデートからは、1点ずつ押していくと3点以上になった段階で「青いエリア」が表示されるものとなっています。範囲を決定しましたら、左上の青いチェックマークを押します。
4. 機体のシリーズ・機体・カメラ(レンズ)を選択
今までは範囲選択後に各種設定画面が展開されていましたが、今回から機体選択の画面を挟んでから、各種設定画面に入れるものとなりました。
5. 飛行ルートの各種設定:1
撮影したい範囲を決めた後は、飛行ルートの各種設定となります。設定が縦長にありますので分割しながら解説いたします。
[1]. 撮影したいデータの種類
まず撮影したいデータを選択します。
・オルソ収集:平面のデータを撮影します。
・オブリーク収集:3Dモデルの構築がしやすいデータを撮影します。立体的な構造物などに効果的ですが、飛行ルートが対象エリア(敷地)からはみ出す設定になる場合もあるので注意が必要です。
[2]~[4]. GSD(地上画素寸法)/高度モード/ルート高度
データの解像度となる[2]GSD(地上画素寸法、写真の1ピクセルに対して何cmで撮るか)を決めていきます。GSDは[4]ルート高度と紐づいており、GSDの精度を上げるほど、飛行高度が下がりますので注意が必要です。また、飛行高度については[3]高度モード(ASL/ALT)よりどの高度設定にするか決めることができます。[4]ルート高度については今までメートル単位での設定でしたが、センチ単位での設定が可能となりました。
・相対離陸地点高度(ALT):機体が離陸した地点を0mの基準とします
・ASL:EGM96をベースとした地球の平均海水面を基準とした絶対高度になります。日本における標高(東京湾の平均海水面)とは異なりますので注意が必要です。
・AGL:機体の位置を基準にした高度になります。地形フォローモードなどを使用したい時に使います。
※注意!:今回から「地形フォローモード」のボタンは高度モードで「AGL」を選択しないと出てこなくなりました
6. 飛行ルートの各種設定:2
5. 安全離陸高度
自動航行の挙動としては、「離陸」⇒「[5]安全離陸高度まで上昇」⇒「撮影をするスタート地点まで横移動して開始」となります。「安全離陸高度」は離陸地点からどの高さまで飛び上がるかを設定するものとなります。
6. 速度
[6]速度は自動航行で撮影中に、どのくらいのスピードで移動するかの設定となります。機体の移動速度が速ければ撮影時間は短縮されますが、一方でシャッタースピードが上がったり、写真がブレたりするリスクもあるので、設定するスピードには注意が必要です。また、この速度は安全離陸高度で飛び上がる時のスピードは含まれておりません。
7. コース角度
[7]コース角度では飛行ルートの角度を変更することができます。
8. 完了
[8]完了では、自動航行を終えた後の動作を設定することができます。「Return-to-Home」では自動帰還、「着地」は自動航行が終了した地点に着陸、「はじめの位置に戻り、ホバリングする」は自動航行での撮影を開始したスタート地点まで戻ってホバリング(空中で停止)を行います。
7. 飛行ルートの各種設定:3(詳細設定)
飛行ルート設定の最後は[9]詳細設定です。
10. 対象面~離陸地点
こちらは機体と地面のオフセット機能となります。オフセット機能の概念については以下のコンテンツ記事で解説しておりますので、合わせてご覧ください。
11~12. ラップ率
サイドラップ率・前部オーバーラップ率の設定を行います。
13. マージン
指定した撮影範囲に対してマージン(余裕)を設け、少し範囲を広く撮影する設定を行います。
14. 写真モード
等時間撮影(n秒ごとで写真を撮る)や等距離撮影(一定の距離を進むごとに写真を撮る)の設定を行います。こちらについてはどちらを選択しても大きな変化はございません。
15. カスタムカメラ角度
こちらは Mavic 3 Enterpriseシリーズのみの設定となります。カスタムカメラ角度では飛行ルートに対して機首の方向の設定やカメラのジンバル角度の設定ができます。
16. ルートのはじめの位置
画面では左上に「S(ルートのはじめの位置)」となっていますが、こちらでは他の隅にあるポイントをスタート位置に割り振ることができます。
17. 離陸速度
離陸地点から安全離陸高度へ上昇する際の速度設定となります。
新しくなった自動航行機能の設定方法は以上です。今回の大幅なアップデートにより、DJI Pilot 2 での自動航行機能の使用感が向上しました!ぜひ使い方をマスターして、業務で役立てていただければ幸いです!
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