Mavic 3 Enterprise の最新機能「リアルタイム地形フォロー」の活用事例
こんにちは、セキド 産業用ドローン担当の田丸です。
今回は、株式会社セピアコーポレーション 東京ドローンアカデミー様と岩手大学様にご協力いただき、茨城県笠間市の採石場「石切山脈」にて実施したDJIドローンの最新ソリューションについてご紹介します。
採石場のような日々地形が変化する、高低差の大きい現場において、Mavic 3 Enterprise(マビック スリー エンタープライズ)シリーズの「リアルタイム地形フォロー」機能を使って地形データを取得後、Matrice 300 RTK(マトリス 300 アールティーケー)+Zenmuse L1(ゼンミューズ エルワン)にて高低差に関わらず均一なレーザー点群データが取得できる活用方法になります。地形データを事前に用意することができない、高低差の大きい現場で点群を取得するには、現時点で最強のソリューションと考えております!ぜひ皆さまもご活用ください。
点群データ取得の準備
使用機材
今回、採石場の点群データ取得に使用した機材とソフトはこちらです。
・DJI Matrice 300 RTK+DJI Zenmuse L1:産業用大型ドローン+レーザー測量モジュール
・DJI Terra:3Dモデリングソフト
作業フロー
そして、実際に行った取得作業の流れがこちらです。
2. DJI Terra で、現地にてDSMデータ(地形データ)作成
3. 作成したDSMデータを読み込ませた Matrice 300 RTK+Zenmuse L1で、地形に沿った均質なレーザー測量
それでは続けて、機能の詳細や取得したデータを見ながら紹介いたします。
リアルタイム地形フォローとは
これまでの地形フォロー機能
地形フォローによる飛行を行うメリットは、山など高低差のある現場においてもラップ率や地上画素寸法(GSD)を一定に飛行することができ、より正確な計測データを取得できる点にあります。これまで地形フォローを行う際は、飛行エリアの地形データを取得するために事前飛行が必要でした。さらに、事前飛行によって撮影した写真を DJI Terra などのSfMソフトで処理を行いDSMデータを生成し、そのDSMを元に再度飛行ミッションを作成する、といった一連のフローが必要でした。
地形フォロー機能の詳しい情報はこちらの記事を参考にしてください。地形に合わせて高度を自動調整!
DJI Terra×DJI Pilot2 の地形フォロー機能を紹介
リアルタイム地形フォローのメリット
Mavic 3 Enterpriseシリーズの新機能として追加された「リアルタイム地形フォロー」では、事前の地形データ取得を必要とせず、機体に搭載されたビジョンセンサーからの情報で地形を認識、それを使って地形に沿って飛行を行う機能です。事前の飛行やSfMソフトによる処理を行うことなく地形に沿った飛行ができるようになりました。
なお、このリアルタイム地形フォローの機能は、2023年5月現在、Mavic 3 Enterpriseシリーズのみで使用できる機能となっております。
DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズの詳細はコチラ
リアルタイム地形フォローを使ってみた
今回検証を行った石切山脈の現場は最大高低差が約100mあり、さらに採石場ということで通常の山林とは異なり、山肌は緩やかではなく垂直に近いような形状をしておりました。
この様な過酷な現場で、実際に Mavic 3 Enterprise(以下、M3E) のリアルタイム地形フォローモードを使用し地形の撮影を行いました。今回は高度60mの設定でリアルタイム地形フォローを使って飛行しています。
こちらが実際にM3Eが飛行した経路です。地形に沿って飛行しているのがわかると思います。
この画像は実際にM3Eで取得したデータを使用し、DJI TERRAにて3Dモデル化したものです。画像からもわかるように崖部分だけでも約60mの高低差があり、さらにその上に生えている木々を含めると約80mの高低差がありました。
このような現場ですが、画像からも石の模様がしっかりと確認できるのがわかると思います。激しい高低差がある場所でもM3Eのリアルタイム地形フォローを使用することで、詳細なデータの取得が安全かつ効率的に取得可能になります。
レーザー測量への活用
写真測量のみであれば、上記の M3E によるリアルタイム地形フォロー機能でデータ取得が完結しますが、今回はM3Eで取得したデータと Matice 300 RTK(以下、M300 RTK)+Zenmuse L1(以下、L1)を組み合わせて、レーザー測量に活用しています。レーザーモジュールを搭載した飛行の場合も可視光カメラの場合と同じように、高度にバラつきが出てしまうと点群の密度に差が出てしまい、取得したデータの精度が落ちてしまうケースがあります。そのため、用途によって地形フォローを用いての飛行が必要になります。
M300 RTK はリアルタイム地形フォローの機能を搭載していないので、先ほど M3E で取得したデータから、その場で DJI Terra を使用してDSMデータを生成、そのデータを元に地形に沿った飛行ミッションを作成しました。
これまで、地形フォローに使用する地形データの取得には、DJI Zenmuse P1等のカメラを搭載して事前飛行を行っていました。その場合、離陸地点から一定の高度での飛行となり、今回のような起伏が激しい地形や日々変化するため事前に地形データが用意できない場所では、撮影データの解像度の問題から高度が低い部分の精度が下がってしまう可能性がありました。
ですが、M3E のリアルタイム地形フォローを活用することで、高低差のある現場でも高精度なデータ取得が可能になりました。高精度なデータを使用することで、M300 RTK などのドローンで地形フォローを行う際も安全に飛行できるようになりました。
L1で取得したレーザー点群データ
M300 RTK+L1を使い高度50mに設定して取得したデータです。
高精度な地形データに沿った飛行により、現場の低い位置にあった岩やクレーン車もしっかりと形をとらえているのが確認できます。
リアルタイム地形フォローを活用した結果
いかがでしたでしょうか。
Mavic 3 Enterprise の「リアルタイム地形フォロー」は、日々地形が変化する現場や高低差の大きい現場で必要だった、地形取得のための事前フライトとデータ生成を割愛することができ、業務効率を向上させる非常に有用な機能ということがおわかりいただけたかと思います。飛行時の対地高度が一定に保たれるため、地上の構造物や樹木などに接近することもなく安全性も向上します。
さらに今回のようにデータを連携することにより、リアルタイム地形フォローが使えないレーザーモジュール等でもその時点の地形に沿ったフライトができ、高低差に関わらず均一な精度・密度のデータ取得が可能になります。冒頭でもお伝えした通り、このような現場における現時点で最高の測量ソリューションと考えておりますので、今回の活用方法にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください!
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