Mavic 3 Enterprise と Multispectral の測量精度を比べてみました
こんにちは。セキド産業用ドローン担当の奥です。
今回は、空撮用ドローンをベースにしたコンパクトな産業用ドローン Mavic 3 Enterprise(エンタープライズ)シリーズから、測量用の Mavic 3 Enterprise(以後、Mavic 3E)と、農作物の生育調査に特化した Mavic 3 Multispectral(以後、Mavic 3M)の精度検証を行いましたので、紹介いたします。どちらの方が測量精度が高いのか?それぞれの機種にどういった違いや特徴があるのか?についても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
Mavic 3E と Mavic 3M ってどんなドローン?
先述の通り Mavic 3E と Mavic 3M は、Mavic 3 という折りたたみ式でコンパクトに収納できる一般向け空撮用ドローンをベースとした産業用ドローン「Mavic 3 Enterpriseシリーズ」に属する2機種となります。Mavic 3 Enterpriseシリーズのコンセプトは「コンパクト&優れた携帯性」で、業務に必要な機材一式を手持ちで持ち運んだり、車内に常備することで、急ぎの業務にすぐに取り掛かるなんてことも可能です。最長45分のフライト時間で、長い時間の掛かるミッションでも性能を遺憾なく発揮し、初心者にもベテランパイロットにも最適な業務用ドローンとなっています。
・Mavic 3E: 航空写真測量を行うためのドローンです。メカニカルシャッターを備えた20MPのカメラと最大56倍ズーム対応の望遠カメラ、2つのカメラを搭載しています。RTK機能を用いることでcmレベルの正確な測位を実現します。
・Mavic 3M: 植物/農作物の生育調査などに使用するドローンです。通常のRGBカメラと生育状況を把握するマルチスペクトルカメラの2種類のカメラと、日照センサーを搭載し、農業生産管理に必要な高い精度の詳細データで農業の「見える化」を促進します。
今回は割愛します防災/点検用の Mavic 3 Thermal(サーマル)を含む Mavic 3 Enterpriseシリーズの比較表はこちらです。
ドローン測量の精度検証
検証の環境
実施日時 : 2023年4月24日 11:50~14:08
実施環境 : 曇り/16℃/やや風あり
実施場所 : セキド DJI 横浜ドローントレーニングセンター(約78m✕108mのグラウンド)
使用機材 : Mavic 3E、Mavic 3M、D-RTK2 を設置、位置座標は FJD 測地GNSS受信機 RTK Rover V1
使用ソフト: DJI Terra
精度検証の条件
・ミッション種別: マッピング
・RTK: 有効(D-RTK2またはネットワークRTK)
・高度補正: 有効
・オーバーラップ: 90%
・サイドラップ: 60%
・シャッタースピード: 1/1000s
・検証点: 3点以上
・高度 37m/74m✕飛行速度 2m/s/5.6m/s の計4パターン
検証結果
1. Mavic 3E と Mavic 3M の精度は同等、いずれも公共測量マニュアルの基準を満たしている
2. GSD(地上画素寸法)2cm/pxとなる高度74mからの飛行で計測を行っても問題のない精度
3. 飛行速度5.6m/s でも、シャッタースピード 1/1000とシャッター間隔 0.7秒で精度良く計測が可能
精度検証と比較の結論
Mavic 3E も Mavic 3M も、どちらも測量を行うには十分な精度を保つことが実証できました。もとよりベースとなるドローンの飛行性能と、測量に使用する広角カメラ(M3E)とRGBカメラ(M3M)が全く同じ性能なため、精度の差もほとんど見られないのは当然といえば当然なのですが、実際に検証で実証することができました。Mavic 3E であれば測量、Mavic 3M であれば植物の生育調査など、それぞれのモデルの用途で安心してお使いいただければと思います。
測量用として Mavic 3E と Mavic 3M のどちらがよいのか?
ドローン測量を行うにあたって Mavic 3E と Mavic 3M はどちらも同等の性能があることが判明したわけですが、どちらで検討するとよいのでしょうか。
セキドとしては、「測量用途」としての選定であれば、「Mavic 3E」を推奨いたします。その理由として、製品購入時の同梱物に違いがあります。
・Mavic 3E には DJI Terra 電力版ライセンスが1年+3ヶ月分付いてくる
(Mavic 3M は3ヶ月分のみ)
・Mavic 3M には RTKモジュールが付属する
(Mavic 3E には付いていない)
があります。
Mavic 3E でRTK機能を用いて測量を行うのであれば、RTKモジュールの追加は必須となりますが、それでも DJI Terra の有料ライセンスが1年+3ヶ月分付いてくることは、コスト面で考えた時に非常にお得なものとなっています。DJI Terra は、撮影したデータに対して2Dオルソ画像や3Dマッピングなどの構築を行うことができるソフトです。
価格や費用についてはお見積りでの対応となりますので、検討に向けて詳細が必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
Mavic 3 Enterpriseシリーズ お見積り/お問い合わせ
測量用途でのDJIドローン
今回は、測量用ドローンとして Mavic 3E と Mavic 3M の2機種をご紹介しましたが、DJIではこの他にも測量用途として活躍するドローンがございますので、一覧表にて簡単にご案内いたします。
それぞれのモデルの機能や特徴については、商品紹介ページをご確認ください。また、個々の機能の紹介などはスペシャルコンテンツとして公開しておりますので、ご参考ください。
ドローンによる効率化がわかる
無料イベント開催中
セキドでは今回紹介した Pilot2アプリや DJI Terra を使ったドローンによる測量/構造物点検の現場を想定したデモを行う無料実演会や、最新事例と撮影データ紹介する無料WEBセミナーなどを定期開催しております。横浜市金沢区の セキド DJI 横浜ドローントレーニングセンターを中心に各地で開催する実演会は、最新モデルによる撮影データを持ち帰ることもできる、導入検討中の事業者様に最適なイベントになっておりますので、ドローンを使った業務効率化に興味をお持ちの方は、お気軽にご参加ください。