産業用ドローンの安全性を高める DJI初のCSMレーダーをご紹介
こんにちは、セキドの北村です。
今回は今話題のDJI製最新産業用ドローン Matrice 300 RTK(M300 RTK)に搭載可能な「CSMレーダー」について説明させて頂きます。
CSMレーダーとは円形走査ミリ波レーダーの略称で、機体の上部に取り付けることにより、さらなる安全対策を講ずることが可能となります。
CSMレーダーの性能
M300 RTK に搭載可能なCSMレーダーは、波長が約1~10ミリメートルの電磁波を使用しており、そのメリットは以下となります。
1. 強力な検出能力
ミリ波レーダーは、互いに接近している小さなターゲットを区別したり、ターゲットの詳細をより明確に観察することが可能です。今回のCSMレーダーの場合、電線などの細いものから壁までの大きさの障害物を識別できます。
2. 全天候対応
ミリ波レーダーは気候の影響をほとんど受けないため、雨天や夜間、橋の下などの暗い場所でもスムーズに動作が可能となります。
3. 小型化
M300 RTK に搭載する円形スキャンミリ波レーダーは、重量がわずか371gと軽量なため、ドローン(UAV)の飛行時間にほとんど影響を与えません。
これらのメリットによりミリ波レーダーを搭載した M300 RTK は、より強力な障害物回避機能を備え、高電圧線や木の枝など、視覚システムでは捉えにくい小さな障害物を正確に特定できます。夜間飛行のように視界が良くない場面でも、ミリ波レーダーは飛行の安全性を向上させる役割を果たします。
ミリ波レーダーで検出された高圧線点群画像の側面図
実務での効果は?
最近、中国・福建省の莆田公安局パトロール特別警察分遣隊のUAVチームは、ミリ波レーダーを搭載した M300 RTK を使用して、都市道路の低高度パトロールと夜の山や森での低高度捜索救助演習を実施し、良い結果を達成しました。
夜間運用用ミリ波レーダーを搭載した M300 RTK
以前の単純な視覚障害物回避と比較して、ミリ波レーダーはより細かい認識度を備えており、小さな枝、手すりワイヤー、ガラスカーテンウォールなどの小さな障害物の認識効果を効果的に向上させ、飛行の安全性を大幅に向上させます。
実務の現場では、円形走査ミリ波レーダーを搭載した M300 RTK が、道路脇の警告標識などの障害物の近くを自動的にホバリングでき、夜間の暗い場所でもスムーズに飛行できることが証明されました。これによりUAVは、道路状況の検査や夜間の運用などのシーンでより優れたパフォーマンスを発揮できるようになります。
CSMレーダーの詳細・スペックは?
CSMレーダーを搭載した M300 RTK の機能やスペック、注意事項をQ&A形式にまとめました。
1. M300 RTK CSMレーダーはどのような機能をサポートしていますか?
水平全方向範囲の障害物の検出をサポートし、障害物を避けて操作の安全性を確保します。
2. M300 RTK CSMレーダーは、農業用ドローン T30、T20、T16、T10 のレーダーと共通ですか?
M300 農業用ドローンのレーダーとは共通ではありません。
3. M300 RTK CSMレーダーの検出範囲と距離はどのくらいですか?
検出角度:水平方向360°、垂直方向60°、上45°
検出距離:1.5-30メートル
有効な障害物回避速度:<10 m/s
レーダーモジュールの検出距離は、障害物のサイズや材質によって異なります。たとえば、有効な検出距離は、反射の強い物体(建物など)では約30メートル、反射の弱い物体(乾燥した物体など)では約15メートルです。
4. M300 RTK CSMレーダーの保護レベルはどれくらいですか?
IP45の保護レベルがあります。保護レベルは永続的に有効でなく、長期間の使用と摩耗により保護レベルが低下する場合があります。
5. M300 RTK CSMレーダーを使用する際の注意事項は何ですか?
以下6つが注意事項となります。
5-1. 機体の電源が入っているときまたは飛行が終わった後は、レーダーモジュールの金属部分に手で直接触れないでください。火傷をする可能性があります。
5-2. レーダー障害物回避機能を使用する際はDJIパイロットアプリでレーダー障害物回避機能を有効にし、航空機の安全距離を設定する必要があります(2.5メートル以上を推奨)。飛行速度は10 m/s未満である必要があり、より良い障害物回避体験を得るために飛行高度が4メートルを超えることをお勧めします。
5-3. 検出距離は物体の反射率に関係します。反射率の強い物体(建物など)の有効検出距離は最大30メートル、反射率の弱い物体(乾いた枝など)の検出距離は最大15メートルです。有効検出距離を超えるとレーダー障害物検知機能が影響を受けたり、無効になったりする場合があります。
5-4. レーダー障害物回避機能は姿勢モードでは使用できません。
5-5. 航空機が地上にある際レーダーは低消費電力モードになります。この時はレーダーの動的ターゲットマップを DJIパイロットアプリで表示することはできません。
5-6. プロセス全体を通して航空機の制御を維持し、レーダーモジュールと DJIパイロットアプリによって提供される情報だけに依存しないでください。見通しを確保して目視に頼り、飛行状況を合理的に判断して時間内に障害物を避けてください。
測量を想定したデモを行う実演会開催
セキドでは、今回紹介した Matrice 300 RTK と CSMレーダーについて、実機を使って測量や構造物点検の現場を想定したデモを行う無料実演会を定期的に開催しております。横浜市金沢区のセキド DJI 横浜ドローントレーニングセンターで開催する実演会では、撮影データを持ち帰ることもできる、導入検討中の事業者様に最適なイベントになっております。
また、産業用ドローンの性能や導入事例を紹介する無料WEBセミナーも開催しておりますので、是非お気軽にご参加ください。
今回ご紹介した製品の詳細はこちらをご覧ください。DJI Matrice 300 RTK 詳細
DJI Matrice 300 RTK CSMレーダー 詳細
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