ドローン(UAV)による赤外線画像を使ったコンクリート面の浮き診断とは?
今回は、ドローン(UAV)を用いたコンクリート構造物の劣化診断について、実証実験での画像や動画を合わせてご説明いたします。
コンクリート構造物の劣化診断の問題点
現在、コンクリート構造物の劣化診断は、近接目視や打音調査が標準となっています。しかし容易に人の近づけない箇所では、特殊な作業車両や危険な高所作業が必要になるため、様々な代替点検手法が提案されています。
そんな中で、ドローン(UAV)を使用して測定面に近接・正対し、高精度な可視画像や赤外線熱画像などの高品質点検データを得る手法も登場しています。
コンクリートの浮きとは
コンクリート面の「浮き」とは、コンクリート内部でひび割れや鋼材のサビによる膨張などの要因でひび割れが連続したり、施工時の欠陥などにより、コンクリートの表面部分と内部が一体性を失うことによって起きる現象です。
「浮き」が進行し、震動などの原因により元のコンクリートから剥がれ落ちる現象を「剥離」といいます。
「剥離」の場合は、「浮き」の状態と比較して目視によって確認する事が可能です。
従来の診断方法 – 打音法
ハンマー等で叩いた打撃音から、浮きの原因となるコンクリート内部の空隙を検出する方法です。手が届く範囲より高い位置にある面を調査する場合は、足場を架設し実施します。
ドローンによる熱画像診断方法
ドローン(UAV)によるコンクリート構造物の診断方法は、ドローンに搭載した熱画像が撮影できる赤外線カメラで、健全な部分と浮きのある部分の温度差を測って、コンクリート面の浮きを検出する方法です。コンクリートが劣化し浮いた状態にある部分では、内部に空気が貯まるため、日中では外気温や太陽照射により熱を持ちやすく、逆に夜間では冷めやすくなるため健全部分より温度が低くなります。
ドローンだからできる精度の高い赤外線カメラ撮影
地上から撮影する場合、撮影箇所が高くなるにつれカメラの「あおり」によって被写体が歪み、離隔も進み、高さに比例して精度は下がります。それを回避して、常に撮影箇所に正対し一定の距離で撮影した画像を得るためにドローンを使用します。近年では、産業用ドローン専用に設計された赤外線カメラも登場し、よりスマートに診断を実施することが可能になりました。
実際に撮影された赤外線カメラ画像から、施工不良によりタイル浮きが発生し、温度変化が見られることが確認できます。
中心部分のタイルが白くなっている部分
更に、障害物センサーやRTK技術により、構造物付近をフライトするドローンそのものの安定性や安全性も向上しています。
赤外線カメラを搭載したドローン
DJIから発売されている赤外線カメラ搭載ドローン、DJI Matrice 350 RTK+Zenmuse H20T や DJI Matrice 30T、DJI Mavic 3 Thermal により、熱画像と同時に可視光も撮影することができるようになりました。撮影した熱画像は、全ピクセルが0.1度単位で温度情報を持っており、小さい温度変化である浮き診断も可能です。また、撮影している熱画像は送信機でリアルタイムに確認することができるので、フライト中も撮影箇所の確認や設定変更なども容易です。
Matrice 300 RTK と Zenmuse H20T の組み合わせ
RC製橋梁点検実証実験の様子
最後に、ドローン(UAV)を使ったコンクリート診断の具体例として、技建開発株式会社のご協力のもと長野県飯田市で行った、産業用ドローン「DJI MATRICE 210 RTK V2(M210 RTK V2)」 を使った橋梁点検実証実験の様子をご紹介いたします。従来は様々な課題があった、橋梁点検など高所のRC(鉄筋コンクリート)製構造物に対する非破壊劣化診断ですが、磁気干渉に強い現行の産業用ドローンの登場によって、常に検査対象と相対し近接画像を得る検査手法が登場しました。
産業用ドローンの性能がわかる
無料イベント開催中
セキドでは、今回紹介した産業用ドローンを使ったコンクリート診断などの現場を想定したデモフライトを行う無料実演会や、最新事例と撮影データ紹介をする無料WEBセミナーなどを定期開催しております。横浜市金沢区の セキド DJI 横浜ドローントレーニングセンターを中心に各地で開催する実演会は、最新モデルによる撮影データを持ち帰ることもできる、導入検討中の事業者様に最適なイベントになっておりますので、ドローンを使った業務効率化に興味をお持ちの方は、お気軽にご参加ください。
産業用ドローンの詳細やお見積りなどの購入相談をご希望のお客様は、問い合わせフォームよりお気軽にご依頼ください。ドローン導入についてのご相談、お電話でのお問い合わせもお待ちしております。
セキド虎ノ門本店 産業用ドローン相談窓口
03-5843-7836(月~金 10:00~17:30)
点検・調査業務で活用される製品
様々な業務に対応するフラッグシップモデルDJI MATRICE 300 RTK + DJI Care Enterprise Basic
サーマルカメラを含むクワッドセンサーカメラDJI Zenmuse H20T + DJI Care Enterprise Basic
4種のセンサーを搭載した携帯性の高い業務用ドローンDJI MATRICE 30T + DJI Care Enterprise Basic
機能と携帯性を備えたコンパクトな業務用ドローンDJI Mavic 3 Thermal + DJI Care Enterprise Basic