農業用ドローンで「作る」から「設計する」農業へ|NEXT SKY FARMが目指す地域農業の仕組みづくり

こんにちは。セキドで農業用ドローンを担当する宮田です。
担い手不足や農作業の省力化が課題となる中、農業用ドローンやセンシングデータを活用したスマート農業が広がっています。
農林水産省によると、ドローンによる農薬等の散布面積は2024年度に約121.8万haまで拡大し、2023年度の約109.7万haから約11%増加しています。農業現場におけるドローン活用は、年々広がっています。
兵庫県佐用町を拠点とする株式会社エアーアシストジャパンでは、農業支援サービス「NEXT SKY FARM」を展開しています。DJIの農業用ドローンを活用した防除や播種などの作業だけでなく、センシングによる生育状況の把握、直播、販路確保までを視野に入れ、地域農業を継続するための仕組みづくりに取り組んでいます。
今回は、NEXT SKY FARMの取り組みに携わる若手ドローンパイロットの椿さんに、農業用ドローンを導入する目的や、同社が考えるこれからのスマート農業について伺いました。

一過性で終わらせない。「仕組み」としてのスマート農業
--エアーアシストジャパンでは、DJIの農業用ドローンやデータ分析を活用されていますが、こうしたテクノロジーを導入する上で、最も意識していることは何ですか?
一番は、「ブームや補助金頼みの導入で終わらせない」ということです。
今、スマート農業やドローン活用は国を挙げて推進されていますし、補助制度を活用して機械を導入するケースも増えています。
でも、補助金を使って導入して終わり、にはしたくないんです。せっかく機械を入れても、使いこなせなかったり、継続して使われなかったりすれば、本当の意味で地域のためにはなりません。
僕たちが目指しているのは、テクノロジーを単なる「便利な道具」として導入するのではなく、地域の農業の中で継続して使われる「仕組み」として定着させることです。

例えば、ベテラン農家さんが長年培ってきた「経験と勘」と、DJIのドローンによるセンシングで得られる生育状況などのデータを組み合わせていく。
経験をテクノロジーに置き換えるのではなく、これまで個人の中に蓄積されてきた判断や知識を、次の世代にも伝えられる形にしていきたいんです。

さらに、水稲では、田植え工程を省略できる直播にも取り組んでいます。
今まで人がやっていた作業をそのままドローンに置き換えるだけではなく、ドローンを使うことを前提に、栽培方法や作業工程そのものを見直していく。
これが、僕たちが考える「設計する農業」のベースです。
すべてを一人で抱え込む「孤立した農業」に、組織で伴走する
--効率的な生産の仕組みをつくった先には、何を見据えているのでしょうか。
農家さんを絶対に「一人きりにさせない」ということです。どれだけ良い仕組みをつくって、生産を効率化できたとしても、最終的に「売り先」がなければ経営は成り立ちません。
だから僕たちは、生産効率を高めて終わりにするのではなく、収穫した農産物の販路まで含めて考えることを大切にしています。

農家さんが一人で、栽培も、作業も、機械管理も、営業も、全部のリスクを抱える必要はないと思っています。
ドローンによる散布やセンシング、データ分析など、僕たちのような専門事業者に任せられるところは任せてもらう。その分、農家さんには次の作付けや栽培管理、経営をどうしていくかという部分に集中してもらう。
それぞれが役割を分担して、地域全体で農業を支えていく。そういう組織的なチームをつくることが、一過性ではないスマート農業につながると思っています。

「作る仕事」から「設計する仕事」へ
--そうした考え方が、「設計する農業」につながっているのでしょうか。
そうですね。これまでは、農家さん自身が多くの作業を抱えるのが当たり前でした。
でも、これからは全部を自分でやるのではなく、
「どの工程を自分でやるのか」
「どの工程を機械化するのか」
「どこを専門事業者に任せるのか」
「取ったデータを次の栽培にどう生かすのか」
ということを組み合わせて考えていく必要があります。
単に作物をつくるだけではなく、農業経営全体をどう組み立てるかを考える。「作る仕事」から「設計する仕事」へ変えていく。それがNEXT SKY FARMで目指している農業です。

次世代に残したいのは、かっこよくて「ちゃんと稼げる」農業
--地元の佐用高校などで行っているスマート農業の授業でも、そうした考え方を伝えているのでしょうか?
はい。
実際にDJIの農業用ドローンを飛ばして、空から種を播くところなどを見てもらっています。若い世代にとって、ドローンは純粋に「かっこいい」と感じてもらいやすい存在だと思います。
でも、「ドローンって面白い」で終わらせたくはありません。
その技術が、農作業の省力化やデータ活用につながって、さらに地域の農業を支える仕事につながっていることまで知ってほしいんです。
農業は「きつい」「一人でやる仕事」というイメージを持たれがちですが、それだけではありません。
テクノロジーを使って仕事のやり方を変えたり、役割を分担したり、販路まで含めて仕組みをつくったりすることで、「これなら自分もやってみたい」「ちゃんと稼げて、続けていける仕事なんだ」と思ってもらえる農業にしていきたいです。
若い世代が農業を、自分の仕事の選択肢として考えられるようにしたいですね。
ドローンを使って、地域に「自立する仕組み」を残す
--これからの展望と、椿さん自身の思いを聞かせてください。
僕たちは、ただ機械を右から左へ動かすだけのサービスはしたくありません。
農家さんが命をかけて守ってきた農地や、長い時間をかけて積み重ねてきた技術を、DJIのテクノロジーやデータを使って次の世代につないでいく。
そして、生産するところだけではなく、収穫したものをどう売るのかという販路まで一緒に考えていく。そこまで含めて、農家さんのパートナーでありたいと思っています。
ドローンは、そのための「もう一つの目と手」です。

これからもドローンやデータを活用しながら、農家さんが一人で全部を抱え込まず、ちゃんと自立して続けていける農業の仕組みを、地域の皆さんと一緒につくっていきたいです。
インタビューを終えて
「補助金頼みの導入で終わらせない」。
今回の取材で特に印象に残ったのは、椿さんのこの言葉でした。
NEXT SKY FARMが目指しているのは、農業用ドローンを導入すること自体ではありません。センシングによる生育状況の把握、直播による作業工程の見直し、ドローンを活用した作業支援、そして販路づくりまでを一つの農業経営として捉え、地域で継続できる仕組みをつくることです。
農業用ドローンの普及が進む中、これから重要になるのは「導入するかどうか」だけではなく、「導入した技術をどう地域の農業に定着させるか」という視点ではないでしょうか。
農家さんを一人きりにしないこと。ベテラン農家さんが積み重ねてきた経験を、次の世代につなぐこと。そして、若い世代が「ちゃんと稼げて、続けていける仕事」として農業を選べる環境をつくること。
ドローンを単なる省力化の道具で終わらせず、地域農業の仕組みそのものを設計するために活用する。
NEXT SKY FARMの取り組みからは、農業用ドローンを単なる省力化の道具で終わらせず、地域農業の仕組みづくりに活用する可能性が見えてきます。
地域でのスマート農業の実践や、農作業支援・販路まで含めた取り組みに関心のある方は、NEXT SKY FARMの活動をご覧ください。データ活用、作業受託などを組み合わせることで、地域や経営に合わせた農業の仕組みづくりにもつながります。
地域でのスマート農業の実践や、農作業支援・販路まで含めた取り組みに関心のある方は、NEXT SKY FARMの活動をご覧ください。
また、農業用ドローンの導入や機体選定、運用方法について検討している方は、セキドへご相談ください。作物や圃場条件、現在の作業体制に合わせて、機体選定から導入・運用方法までご提案します。

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