運搬ドローン FlyCart 30 を使って人員を80%以上削減!山岳鉄塔の資材搬出レポート
こんにちは。セキドで運搬用ドローン DJI FlyCart 30 を担当する佐藤(雅)です。今回は先日実施した、FlyCart 30 活用による送電塔現場における物資「搬出」の実業務をご紹介します。
FlyCart 30 の現場では、雪山登山・洞窟潜入・崖クライミング・週3で熊出没ルート登山・崖からの滑落等々、様々な経験してきましたが、その中でもトップクラスに厳しく、険しい登山ルートでございました。。。
スイッチ押せば電気が付いて部屋に明かりが灯る事が当たり前だと思っていましたが、誰かの「当たり前」の為に懸命に働いてくださっている方々がいるんだ!と気付かされた感慨深い現場です。そんな視点からもご覧いただければ何よりです。
ドローンによる鉄塔資材搬出
今回の運搬ドローン DJI FlyCart 30 を使った資材搬出業務の実証は、販売代理店の株式会社プログレス(本社:新潟県三条市)とインフラ設備の運用管理をされる株式会社カナエ(本社:東京都港区)にご協力いただき、新潟県東蒲原郡の山岳地帯の送電鉄塔周辺で実施しました。
資材搬出業務の実証環境
日時 :2024年7月某日 フライト時間 9:30~15:45
場所 :新潟県東蒲原郡阿賀町石戸
天候 :気温35℃、降水無、視界良
運搬物:ボルト
距離 :約1,500m(高低約150m)
搬出作業の内容
ドローンで運搬したのは送電鉄塔で使われているボルトで、事前に行われた交換作業で山頂に収集された腐敗、摩耗した使用済ボルトを麓まで荷下ろしするという内容です。1本270gのボルトですが、総数3,600本あり重量は計960kgです。
山頂に収集された使用済みボルトを
復路で麓まで引き上げてきます。
左上にあるような鉄塔で使用されたボルトを搬出します。
手のひら半分程の大きさで1本270gですが、
総数3,600本で計970kg。
ドローン活用の背景
送電鉄塔で使われるボルトは一般的に10年~15年程で経年劣化により交換が必要となり、海側付近は潮風の影響で更に劣化サイクルが早くなります。これまで行われてきた人力での荷揚げでは、1人1回19kgを背負って1日1往復(1回搬出)が限界で、960kg÷19kg=50.5人工が必要でした。近年では荷揚げの人手不足と高齢化のダブルパンチで、早急に代替案を検討する必要がありました。
ドローン活用の効果
ドローンによる搬出作業の実証結果としてその効果は大きく、計960kgの搬出で43人工が削減できました。具体的な作業内容や効果については続いて紹介いたします。
山岳地域での資材運搬
片道約1時間の険しい搬出ルート
急こう配を1時間
数十匹のヒルと格闘
膝まで浸かる急流超える事十数回
川幅5m✕高さ2mを這い上がります
ドローンによる搬出のフライトスケジュール
今回の搬出作業は下記のフライトスケジュールで実施しました。1フライトでのバッテリー使用量は平均38%でしたので、麓に着陸する度に残量62%で交換してフライト中に充電を行いました。
[離陸から着陸まで]約10分
・往路(離陸 → 山頂ウェイポイント):平均2分30秒
・山頂到着 → 操縦権奪い荷吊り:平均3分
・復路(山頂ウェイポイント → 麓ウェイポイント):平均2分30秒
・麓到着 → 操縦権奪い荷下ろし:平均2分
[着陸から次フライトまで]約3分
・バッテリー交換、モーター付近冷却:約3分
[1フライトあたりの合計]約13分
バッテリー交換時のモーター冷却
これまでの人力搬出とドローンの比較
運搬ドローンと人力荷揚げの比較表 | ||
DJI Flycart 30 | 人力荷揚げ | |
所要時間(1往復) | 約13分 | 90分 |
1回あたりの運搬量 | 約25kg | 19kg |
960kg分の運行数 | 39フライト | 51往復 |
960kg分の所要時間 | 507分(8時間27分) | 180分(3時間) |
運搬ルート確保 | ほぼ不要 | 必要 |
想定運用人数 | 8人工(2人✕2ヶ所✕2日) | 51人工(25.5人✕2日) |
ドローン費用 | 約600万円(バッテリー6本想定) | 無し |
人件費 | 24万円(3万円✕8人工) | 153万円(3万円✕51人工) |
ドローンによる搬出作業を終えて
比較表の通り「完了までの所要時間」では人力に分がありました。ただし、酷暑とも言える近年の夏の作業環境において、ドローンを使うことで43人工(51-8)という大幅な作業人数の削減を達成しました。さらに依頼元の方からは「『人件費削減』よりも、作業従事者の方々を『熱中症リスクのある作業環境から脱却させた!』という事実が何より嬉しかった」との感想を頂きました。人件費削減や工期短縮ももちろん大切ですが、それ以上に現場における作業従事者の安全・生命の確保を達成できるという事実が、FlyCart 30 の導入根拠となる好事例となりました。
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