石川県珠洲市の被災地域で運搬ドローン FlyCart 30 を使った往復4kmの物資輸送を実施しました
こんにちは。株式会社セキドで運搬用ドローンを担当する田丸です。
先日、石川県珠洲市にて令和6年能登半島地震により道路が分断されてしまった被災地で、運搬用ドローン DJI FlyCart 30 を使った物資輸送を行ってきましたので、その様子をレポートいたします。
被災地でのドローンによる物資輸送
今回の物資輸送は、一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会(DBA、岡山県岡山市)と、株式会社Drone Partner’s(DBA石川県本部、石川県珠洲市)と一緒に行いました。
地元事業者の方から株式会社Drone Partner’sに復旧に使用する資材の輸送についてご相談があったことから、FlyCart 30 を使った運搬・輸送の実績があるセキドも協力をさせていただきました。
日本ドローンビジネスサポート協会からは、先にプレスリリースにて今回の物資輸送が紹介されていますので、併せてご覧ください。
ドローンで物資輸送
「往復4km/標高差200m/総重量300kg」[PRTIMES]
物資輸送の現場環境
今回の物資輸送は、下記の環境と内容で行いました。
[実施環境]
天候: 晴れ
気温: 約30度
風速: 3m/s程度
[飛行内容]
高低差 : 200m
輸送物資: 約300kg
飛行回数: 15回
フライト現場
輸送フライト時の様子
フライトオペレーション
事前にフライト場所の状況確認とフライトテストを行い、安全に物資輸送ができる環境を確認しました。
フライトルートの作成
電波環境や着陸エリアの状況確認にはDJI Mavic 3 を使って、上空・地上双方からの安全確認を行い、その上で安全なフライトルートを作成しました。現場確認時も足元が悪い場所が多く、細心の注意を払って確認しました。
荷降ろし場所
フライトルートの作成には DJI が提供するドローン物流管理プラットフォーム DJI Delivery Hub を使い、ドローンで事前に確認したポイントと離陸地点を結ぶ飛行ルートを三次元で作成、基本的に自動飛行での輸送としました。
離陸ポイントは分断された道路でスペースが限られるため、離発着時は手動で操縦を行いました。
離陸場所
機体の2m先は崩れた山という環境のため離着陸のたびに現場に緊張が走り、荷物の受け手/送り手側ともに高い操縦能力を必要とする、高難易度の現場でした。
安全性を高めるために
また、輸送作業中は Delivery Hub を使用して、受け手/送り手側双方で機体の状況確認を行いながら作業を進めました。さらに Delivery Hub の映像は現場だけでなく、インターネット回線さえあればどこからでも視聴可能なので、DBA岡山支部・山口支部の方々がリアルタイムで作業状況を監視して、より安全性を高めて輸送を行いました。
万全の準備で無事に輸送終了
作業当日は気温がとても高く、さらに山岳部ということで日陰もほとんどない現場のため、定期的に休憩を取りながら約5時間で輸送作業は完了しました。
作業後にクライアントの地元企業の方に『もし、FlyCart 30 がなかった場合はどうしてましたか?』と尋ねたところ、『道がなく人力でも限界があるため、ほんとにどうしようもなかった。今回輸送を手伝っていただけなければ、なにも進まなかったので、本当に感謝している』とのお言葉をいただきました。
作業員の労働環境も改善
今回の作業は受け手/送り手側2チームでオペレーションを行ったのですが、受け手側は1時間半程道なき道の山登りの必要がありました。
荷降ろし場所への山登り
荷降ろし場所への移動では本来、荷物や飲料・食料等を持って行かなければならないのですが、今回は冷たい飲みものやお弁当を FlyCart 30 を使って届けることができました。山を越える移動時は最小限の荷物で済み、作業員に掛かる負担を大幅に減らし、労働環境を環境が改善できました。
ドローンで届いたお弁当を食べる際は、感慨深く思いました。
被災地での物資輸送を終えて
今回のような地図上の地形があてにならない場所で運搬・輸送する際も、FlyCart 30 はフライトテレメトリー(遠隔での飛行情報共有)がとても優秀なため、機体周辺の状況が把握でき、安心して作業することができました。実際の現場で使えば使うほど、FlyCart 30 の優秀さを体感します。
セキドでは FlyCart 30 のフライトの様子や詳細を知りたい方に向けて定期的に実演会やデモ会を行っていますので、ぜひお気軽にご参加ください。
運搬性能や活用事例などのお問い合わせや、実演会やデモフライトの要請などもお待ちしております。
FlyCart 30 の機能やスペック情報はこちらDJI FlyCart 30