ドローンで2トンの林業資材を運搬!FlyCart 30 が業務効率を改善する3つのポイント
おはこんばんにちは。セキドの糸野です。先日、計2トンの林業資材を運搬する現場で、物流ドローン DJI FlyCart 30 を運用してまいりました。今回は大注目の FlyCart 30 が大活躍してくれました林業資材運搬の現場の模様をレポートさせていただきます。
ドローンを使った資材運搬の現場
今回の現場は、三重県某所での林道設置前の手すり運搬業務を委託いただいたものになります。
※手前の空き地から山を越えた先に資材を運搬
※運搬した手すり用資材
運搬総重量は2トンで、現地業者様いわく通常であれば人が背負って運ぶ必要があり、8人で1週間以上かける作業とのこと。当該作業がドローンに置き換わることで作業工数が短縮でき、莫大な労働生産性の向上が望めるとお話されていました。
※作業員による資材運搬風景
それでは早速ですが、こちらが FlyCart 30 を使った実際の運搬の際の映像です。およそ高低差200m、直線距離400mほどの場所まで、1回のフライトで最大30kgの荷物を運搬しています。
いかがでしょうか?林業の素人では歩くのもままならない場所を人が担いで運ぶのと比べて、ドローンを使うとあっけないほど簡単に運ぶことができました。
林業の現場であってよかった運搬ドローンの便利機能ランキング
ここからは、FlyCart 30 に搭載されたどんな機能が、いとも簡単な山間部の森林での資材運搬を可能にしたのか、実際の現場で糸野が心の底から便利だと感じた機能 トップ3をランキング形式でご紹介していきます。
運搬ドローン 便利機能ランキング 第3位
まず第3位は「DJI DeriveryHub(デリバリーハブ)」です。
※実際のデリバリーハブの操作画面
デリバリーハブは、FlyCart 30 を購入すると無料でお使いいただける、ドローンの管理統制用アプリです。ブラウザ上で動作するWebアプリですので、通信環境さえ整っていればどんなPCやタブレット、スマートフォンからでもお使いいただけます。
正直、実際の現場に行くまではただの管理ツールだと侮っていましたが、林業の現場ではほぼ必須のツールだと感じました。なにがそんなに便利だったかというと、ズバリ「カメラ映像のストリーミング」です。
今回は、平地の離陸地点から運搬先となる山の頂上までの移動を担当する私と、荷物を卸す新米パイロットSさんとの2名体制、いわゆる2パイロットで運搬を行いました。今回のような山を“越える“現場で荷物を卸す際、私が持っている送信機が山の向こう側に行ってしまった機体と接続切れを起こしてしまう事象が頻発します。これは山の現場でよく発生する事象ですが、実際に荷物を卸す作業を行っている際、私側では現場の状況を把握できないことで作業の効率がかなり下がりました。
※山を越えて片方のパイロットからは電波が入らないの図
そこで登場するのがデリバリーハブの映像伝送機能です。これさえあれば仮に私の送信機と機体の接続が切れても、デリバリーハブを介してSさん側の送信機から送られてくるストリーミング映像を確認できるので、作業の進捗を逐一把握してシームレスな操縦の交代したり、Sさん側が作業している間に私が次のフライト準備を効率的に行うなど作業全体の効率化が図れました。
※送信機がクラウドを活用しストリーミング配信を行っているため
作業進捗を横目で確認しながら次の作業の準備を行えるの図
ただ作業効率を上げるだけでなく、一時的に強風が吹いた時に作業の一時中断などの指示を、機体のカメラ映像や計器の情報をもとに新米パイロットSさんに的確に指示をすることができ、作業全体の安全管理にも大きく寄与してくれました。作業効率の向上、安全性の向上の観点から、まさに現場では必須のツールだと感じました。
運搬ドローン 便利機能ランキング 第2位
次に大活躍した機能は、なんといってもウィンチ+インテリジェントスイングコントロールの機能です。今回は半径7mほどの空き地を事前に作っていただき、そこへ荷物を運搬しました。このような狭い場所に運搬する際、安全を考慮して周りの木に絶対に接触しない高高度から、ウィンチを下げて荷物を接地させたいと考えるのが人情です。現状、ウィンチが搭載されているドローンは非常に数が少なく、そういった意味でも今回のような難易度が高い現場では FlyCart 30 が大活躍しました。
※機体の位置を調整して荷物の揺れを抑えるの図
ただ単純にウィンチが搭載されているドローンであればなんでもいいかというと、そう言うわけにはいきません。通常ドローンから荷物までの距離が長ければ長いほど(ワイヤーが長いほど)、機体の揺れや風の影響を受け荷物に振り子が発生してしまいます。今回の現場担当者の方も、FlyCart 30 以前のドローンによる運搬で荷物を下す際、振り子が発生してしまい顔にウィンチが当たって大けがした人がいたことがあったとおっしゃっていました。
FlyCart 30 に搭載されたインテリジェントスイングコントロールは、機体を微細に前後左右に自動で動かすことで、荷物運搬の大敵である荷物の振り子を自動抑止する機能です。FlyCart 30 を使えば、機体が絶対に木に当たらない高度30m以上の高さからでも振り子を抑止し安全に荷物を降下できるんです。今回の現場でもやはり一時風が強く吹くような状況もありましたが、振り子の発生を作業に影響を及ぼさないレベルまで自動で抑止してくれるため、外的要因によって作業効率を落とすことなく安全性を担保した状態で一貫して作業を継続することができました。
※ウィンチで荷降ろしをする FlyCart 30
ウィンチ利用時の注意事項
いよいよ第1位!と行きたいことろですが、その前にウィンチをご利用いただく際に注意すべき点もありましたので、簡単にまとめたいと思います。
まずウィンチは、ばねで常に開こうとするフックを荷物の加重で抑えるという単純な機構になっています。
※荷物の加重が無くなりバネが開くフック
今回の現場では、FlyCart 30 が搭載しているウィンチシステムのワイヤーの長さ20mでは安全の確保が難しかったため、フックの先に10mのワイヤーを追加しその先に荷物を搭載する方法を取りました。そのため行きは30kgもの荷物を運んでいるので問題ないですが、帰りは10mのワイヤーだけを吊って帰ってくることになります。このような場合、風などの影響を受けてワイヤーが揺れ、一時的に加重が掛からなくなりフックが意図せず開いてしまうことが大いに予想されます。
今回の現場と同様の運用をする際は、これを防止するため物理的にフックが開かないよう対策を行うか、フックを下ろして運用する時間を極力短くする、ないしはワイヤー自体にあらかじめ重りをつけて置き帰りもある程度加重が掛かるようにするなどの工夫が必要ですので、ご注意ください。
※格納した状態では絶対に開かない構造のフック
運搬ドローン 便利機能ランキング 第1位
それでは、いよいよ第1位の発表です。1位はルート記録+バックトラックリターン トゥーホームの機能です。
今回の現場を通して、やはり自動航行の便利さが際立ちました。
・論理的に最短経路かつ最高のバッテリ効率での運搬を繰り返し行える
・作業中常時気を張らなくて済むから作業のストレスが全くない
などなど、自動航行の便利なポイントは枚挙に暇がないほどですが、その中でも今回の現場で最も自動航行が便利だと感じたポイントは、自動航行することで荷物の受け手側の作業負荷を圧倒的に軽減できるという点です。
今回の現場では半径7mの目的地に荷物を降下させるという、非常に難易度の高いミッションを行う必要がありました。荷物を下すためにドローンが “留まるべき” 位置に対して余裕がなく、ドローンを毎回必ず同じ位置に移動させるオペレーションが必要です。しかし地面から機体を見上げて、30m以上上空にあるドローンを安全に毎回同じ位置に留めておくというのは、非常に高度な操縦技能が求められます。そのため従来までのドローンでは、荷物を下す側のパイロットは熟練の職人のようなレベルの方に依頼することが望まれていました。
今回も含めてそのような現場でも FlyCart 30 を使って自動航行の機能を活用すれば、100回やれば100回とも必ず同じ位置、同じ高度に機体を自動で移動してくれるため、受け手側のオペレーションはウィンチの上げ下げのみで完結し、求められる技量は格段に軽減されます。実際に今回の現場では受け手側の作業を、フライト経験が計20時間ほどの新米パイロットSさんが受け持ちましたが、彼が実際に行ったオペレーションは機体の高度の微調整とウィンチの上げ下ろしのボタン押下、ドローンの自動帰還用のボタンを押す、という単純な作業のみでした。
※ウィンチを操作するSさん
このように、今回の現場では高精度な自動航行の機能をしっかり活用することで、作業全体の属人性を排除することができました。これは安全性の向上はもちろんですが何よりも、労働生産性の向上に大きく寄与し業務全体の利益率の向上に役立ちます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は糸野が林業現場で活用して本当に便利だった FlyCart 30 の機能を3点ご紹介してきました。DJI初の物流/運搬用ドローン FlyCart 30 は国内市場では後発という面もありますが、すでにゲームチェンジャーと呼ばれる性能を誇っており、今回紹介しきれなかった隠れ便利機能が盛りだくさんです。
FlyCart 30 の機能やスペック情報はこちらDJI FlyCart 30
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