LiDAR技術の革新:DJI Zenmuse L3の性能と活用事例完全ガイド
こんにちは、産業機用ドローン担当の鈴木です。
今回は2025年11月4日(火)に、DJIより発表された DJI Matrice 400搭載用の新型LiDARモジュール DJI Zenmuse L3 について、最速レビューと徹底検証を行ったデータをご紹介いたします。

Zenmuse L3 は前モデル Zenmuse L2 に比べ格段にスペックが上がっており、データ取得能率性や再現性の向上、可視光カメラが最大1億画素で取得可能、さらには今話題の3DGSには可視光データだけではなくLiDARも用いて構築ができるモデルに進化しました。Zenmuse L1/Zenmuse L2/Zenmuse L3 と、これまでリリースされたモデル全ての比較と、LiDAR性能について細部まで検証とデータの活用を行っておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ー 目次 ー
1.Zenmuse L3製品情報
2.製品スペック比較
3.Zenmuse L3 の特長
4.製品検証報告
5.所感・想定される需要について
6.まとめ
1.Zenmuse L3 製品情報
Zenmuse L3 は、2023年10月10日にリリースされたドローン搭載LiDARモジュール Zenmuse L2 の後継機種となります。
Zenmuse L3 は、スペックや性能面で完全上位機種モデルとしてリリースされました。上位スペックという事もあり、精度や機能については申し分ない性能を持っております。
ただオーバースペックにならないよう、引き続き Zenmuse L2 も併売されますので、より皆さまの用途に合わせたラインナップとしてLiDAR製品をお選びいただけるのではないかと思います。
Zenmuse L3 は測量業、林業、土木建設業(BIM/CIM)、電力関係(送電線の点検調査)など、幅広い用途として活用が見込まれます。また、再現性が向上した点や3DGSの活用に伴い、シミュレーション、仮想空間の作成など新たな分野にも活用が期待されます。
2.製品スペック比較
詳細のスペックや全モデルとの比較をまとめましたので、ご覧ください。

3.Zenmuse L3 の特長
照射角度
Zenmuse L2 の照射角70°に対し、Zenmuse L3 は80°とさらに広くなりました。Zenmuse L2 では5Line必要だった範囲が、Zenmuse L3 なら3Lineで計測可能です。
※ラップ率や計測範囲などによって異なります。

リターン数
Zenmuse L3 はリターン数が最大16リターンに増加し、リターン数は2の累乗で変更可能です。
スキャンレート
Zenmuse L3 のスキャンレートは最大2MkHzとなり、1秒あたりの照射点数が最大2,000,000点の計測が可能です。リターン数によって可変式となり、2の累乗で変更可能、基本は350kHzでの計測を推奨します。

スキャンパターン
Zenmuse L3 はスキャンパターンが3種類に変更となりました。データの均一性が損なわれることを懸念し、反復/非反復の中間に位置する米印を追加されています。
ビーム発散角
Zenmuse L3 はビーム発散角が 0.26mrad×0.26mrad と小さくなり、形も円状に固定となりました。Zenmuse L2 のビーム発散角は 0.4mrad×1.2mrad で、高度100mだと Zenmuse L2 が 40㎜×120㎜ のところ、Zenmuse L3は 26㎜ と約1/4.6となりました。そのため細かくレーザーを当てることができるため、再現性も格段に向上しております。またビームスポットも円形になったことにより、前作の楕円形に対し歪みづらくなったことも特徴です。
ビーム発散角とビームスポットの形による比較は下記になります。諸元作成やコース間での検証も前より扱いやすくなったのではないかという印象です。
波長
波長が Zenmuse L2 の905nmに対して、Zenmuse L3 は1535nmになりました。1535nmになったことにより、より高出力で検知距離も向上しております。905nmは近赤外線に近い性質を持っていましたが、1535nmからは中赤外線に近い性質を持っています。より高出力で検知距離の向上とパルス幅が狭いことにより、高精度に計算できることが波形によるメリットです。
一方で、水面に対しては水分子との振動エネルギー幅が近い値のため、共鳴(吸収)してしまい水を含むものに関してはデータがより取得しづらい傾向にあります。
可視光
可視光カメラが2眼となり、解像度も最大1億画素に進化しました。送信機上では2眼をマージした映像が閲覧可能です。

同梱物
1TBのCFスロット搭載し、CFカード2枚とカードリーダーも付属します。弊社のPCで検証した結果、microSDに比べてデータ転送速度は約10倍以上速い数値となっております。

ジンバルダンパーも耐荷重1.6kgに耐えられるよう、新たなマウントになりました。少々前方にカメラが位置する設計となっております。


さらに、DJI Matrice 400 に収納可能になるケースも同梱されます。機材の量も減らすことができるため現場への運搬負荷も低減されます。

4.製品検証報告
製品比較内容
・DJI Matrice 350 RTK/DJI Matrice 400+Zenmuse L1/Zenmuse L2/Zenmuse L3 を用いて精度と再現性について比較
・RTK使用(セキドネットワークRTKを用いて約200m先の電子基準点による補正のみ使用)
・対空標識の計測はGNSSローバーを使用
・使用ソフトウェア:DJI Terra/TREND-POINT/Cloud Compare
検証で使用した DJI Terra は DJI製マッピングソフトウェアで、ドローンで撮影した写真や映像を分析し、オルソ画像(歪みのない地図)、3Dモデル、3D点群データなどのデジタル資産に変換できます。

また、3D点群処理システム TREND-POINT(トレンドポイント)の詳細やお見積りは、こちらからご確認ください。
TREND-POINT Ver.12[福井コンピュータ公式サイト]
環境
計測地:春日部みどりのPARK
地形:平地
天候:晴れ
風速:1∼3m/s
DJI Terra 構築時設定
点群密度:高
点群の最適化:ON
点群の平滑化:OFF
グラウンドポイント分類:ON
座標系:水平 JGD2024 IX、垂直 JGD2024
飛行ルート設定詳細





精度比較
Zenmuse L1/L2/L3 非反復 50m/100mでの精度比較


対空標識の視認性

データ比較
Zenmuse L2(飛行ルート5Line)/L3(飛行ルート3Line)飛行時のフライト時間/計測ルート作成時の点密度を比較
※LiDAR照射角が異なるため、総点量/lasデータ量は1Line(約100m)のみを抽出し比較

Zenmuse L2よりZenmuse L3の方がLiDARの照射角/可視光のFOVが広くなっているため計測時間を大幅に削減できます。ですが、データ量はLiDARの性能向上と可視光の解像度向上+2眼のため2倍の写真量となり、約2~3倍以上になることがあるので注意が必要です。
ビーム径での歪み比較
Zenmuse L1/L2/L3 非反復 50mでの比較
※垂直方向と斜辺方向での歪みを比較(1Lineのみを計測)


垂直方向比較

斜辺方向比較
厚み比較
Zenmuse L1/L2/L3 非反復 50mでの厚み比較(スライス幅:0.30m)


可視光精度比較
Zenmuse L2/L3 可視光 50m/100mでの精度比較
点群出力による比較
可視光の場合、Zenmuse L2はGSD:1cm/pxgaが37.2mに対し、Zenmuse L3はGSD:1cm/pxは100mで計測可能になりました。

DJI Terra でのGCP精度管理も可能

カメラキャリブレーション結果も2眼での結果を出力

可視光再現比較
Zenmuse L2/L3 可視光 100mでの再現比較
2眼になったことにより、広範囲FOVの計測方法はL2可視光より再現性が上がっているのか検証

3DGS再現比較
Zenmuse L3 非反復 50m/100mでの精度比較
オブリーク飛行を用いて、可視光のみとLiDARを用いた構築で比較
送電線などのLiDARならではの再現が可能です。

雨天時の再現比較
Zenmuse L2/L3 非反復 50m比較(アスファルト赤枠/雨水 5∼15mmほど)
波長の特性の検証を行い水面でのデータ取得に差がありました。

各オブジェクト比較
Zenmuse L1/L2/L3 非反復 50m比較
高出力により反射強度でのばらつきや取得の再現性に大きな差がありました。


森林でのグラウンド透過率比較
Zenmuse L2/L3 非反復 50m/100mでの比較
DJI Terra でのグラウンド分類機能使用

DJI Terra にて断面表示/計測が可能

グラウンド分類


グラウンド取得比較

高度100mでは16リターンまで計測するケースは稀だが6~16までの間に計測が行われ、よりグラウンドの取得が向上しています。

DF LAT (DeepForest LiDAR Analysis Tool)やDF Scannerでの解析も地形の情報が精密であれば自動解析での樹高精度も大幅に向上するためとても良い結果です。
DF LAT (DeepForest LiDAR Analysis Tool)やDF Scannerは、このような点群情報をTIFの生成し森林解析用を行うソフトウェアです。
ドローンで撮影したデータから、CHM計算、樹頂点の検出、樹冠の分離、ディープラーニングを用いた樹種識別、DBH・材積・炭素蓄積量推定などの各樹木単位での解析を一通り行うことができます。


送電線の比較
Zenmuse L2/L3 非反復 50m比較

DJI Terra の新機能
飛行軌跡編集機能
軌跡ごとに分割、キャリブレーションラインをカットすることもできるためとても便利な機能です。また、コース間調整やラインごとの精度などが出しやすくなっておりますので、測量会社様必見の機能です。
POS計算機能
固定局設定
固定局の中心位置をオフセットし計算を行うことが可能です。

PPK
RINEXデータは拡張子.OBSに変更し読み込むことで計算可能です。

5.想定される需要について
既存の測量関係の業務は概ね問題なく行える性能を持っていることは、徹底検証を行った結果にてご参考になればと思います。座標精度や再現性についてはUAVレーザー測量においては問題ない概ね問題ない水準でもございますので、是非ご検討ください。
またZenmuse L2を使用されている方は、帳票作成に関して懸念されていることもあるかと思いますが、sbet、RTK、LiDAR、IMUなどは前回と概ね変わらず記録されておりますので、引き続き参照していただけますと幸いです。
弊社で行っている精度点検サービスについても、Zenmuse L3もラインナップに入れられるように準備しております。公共測量等でお悩みの方は是非下記サービスをご覧ください。
今後はBIM/CIMモデルの作成業務として、土木建築業界にもZenmuse L3の活用を増やしていければと考えております。簡易的ではございますが、点群データやBIM/CIMモデルと重機のサンプルを用いて搬入などの現場作業のシミュレーションや現場管理などにお役立ていただく事も可能です。活用のイメージとしてご参考になれば幸いいです。


新たな活用としてDJI modifyやblenderでのメッシュデータの編集、3DGSを用いてゲームエンジンなどにご活用ください。.plyでの出力も可能ですので、活用の幅は広いのではないでしょうか。
DJI Modify
DJI Modifyの場合、DJI Terra から1クリックでデータインポートできるためとても便利なソフトです。今回から点群編集機能も追加され、より使いやすくなっております。




Blender
インポート/編集が可能

TREND POINT
TREND POINT ver12で3GDSがインポート/編集が可能になりました。断面やガウスの編集がTREND POINTできるのは、測量/土木・建築業界でも3DGSというものが活用されやすくなるためとても良いアップデートです。SLAM製品などでも3DGSの構築ができるツールが増えてきておりますので、UAVだけでは取得できない室内の部分などと点群/3DGSをGCPや特徴などから位置調整を行いデータの合わせ、高精細な3次元データの活用にも期待されます。

TREND-POINT Ver.12[福井コンピュータ公式サイト]
6.総括
Zenmuse L3は、これまでの数多くの検証を通じて、その圧倒的な性能と多様な可能性を感じさせる機種です。従来のZenmuse L2が主に測量分野で活用されていたのに対し、L3は土木建築、林業、災害対応、モデリングといった幅広い分野への応用が期待できる新たなソリューションだと考えております。
特筆すべきは、その点群データの高精細さと再現性の高さです。対空標識の視認性も非常に優れており、精度確認やトレース作業など、後工程の効率が格段に向上します。点群データを扱う上で最も重要なのは「再現性」であり、最終的にその品質を判断するのは人間の目による確認です。エッジの明瞭さや形状の再現性が高いほど、解析・設計業務における信頼性と効率が大きく向上します。
Zenmuse L3は、様々な飛行方法やジンバル制御を駆使し、細部まで忠実に再現できる唯一無二の機体です。「そこまで必要なのか」と思われるほどの性能こそが、全体最適・業務効率化という観点で大きな価値を発揮します。
今後の業務効率向上や新たな活用分野の開拓に向け、ぜひZenmuse L3の導入をご検討いただければと思います。運用方法や具体的な活用については、弊社が責任をもってサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
進化のポイントと新たな活用まで!動画でわかる速報ウェビナー開催
Zenmuse L3 の効果をより多くの事業者の方にお伝えし、ドローンを使った測量・マッピングの業務効率化やこれまでにない新たな活用を実現していただくため、無料WEBセミナーを開催いたします。先行して実施した様々な実証事例をもとに、どこよりも早くわかりやすくご紹介しますので、皆さまのご参加をお待ちしております。
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横浜市金沢区の セキドDJI 横浜ドローントレーニングセンターを中心に各地で開催する実演会は、導入検討中の事業者の方に最適なイベントになっておりますので、ドローンを使った業務効率化に興味をお持ちの方は、お気軽にご参加ください。
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